トラックの後輪に「シングルタイヤ」が全然普及しない理由
トラックの後輪は、ほとんどがダブルタイヤだ。しかし最近、シングルタイヤを装着したトラックを見かけることがある。今後普及するのか。
大型トラックに優しくない日本

欧州ではトレーラー輸送が主流であるため、環境問題や走行時の騒音問題に早くから着目が集まっており、トラックやシャシーにはシングルタイヤが多く採用されている。
一方、日本は大型車輸送の道路事情が異なり、道路も少なく狭い。欧州に比べて整備されていない。これは、高速道路のパーキングエリアにおけるトレーラーの
「駐車スペースの少なさ」
を見てもわかる。止める場所のないトレーラーが「コ」の字型に止まっているのを、皆さんも見たことがあるだろう。
日本と似た国土面積であるドイツ。その道路延長(アウトバーン、連邦道路)が5万3100kmであるのに対し、日本の国内輸送路線(自動車道、国道)は2万1200kmと、約4割にすぎない。また、日本の道路は上り坂や下り坂が多く、駐車スペースも非常に限られている。アップダウンが多い、トンネルも多い、地理的に平地が少ない。大型トラックでも走れない道路が多いのだ。そのため、トレーラーによる輸送よりも11tトラックや4tトラックによる輸送が重要であり、トレーラーによる輸送は限られる。
タイヤの販売本数が少ないということは、
「タイヤの装着本数も少ない」
ということでもあり、結果、タイヤの単価が高くなり、運送事業者は新車ホイールのコスト削減の恩恵も受けにくい。
当初からシングルタイヤで海外から輸入されたシャシーはあるが、輸入代理店の数は少なく、輸入車を積極的に使用している運送事業者は少ない。国際海上コンテナ輸送用の輸入シャシーも見受けられるが、背が高すぎて日本の道路運送車両法の高さ制限(コンテナ積載時は最大3.8m、高さ指定道路では4.1m以下)を満たせないものもあり、十分な事前調査が必要だ。