いま、過疎地で「公設サービスステーション」が増え続けている深刻理由
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過疎地で公設サービスステーションが増えている。民間事業者の撤退を受け、地方自治体が整備しているからだが、先行きには不安がつきまとう。
自治体に求められる発想の転換

公設民営や地域住民主導によるSS開設は他に事業の担い手がいない以上、当面の策としてやむを得ない。だが、人口減少に歯止めをかけられなければ、自治体の予算先細りが加速する。いつか限界に達し、事業から撤退せざるを得なくなることも考えられる。
住民の努力で生活インフラを守ろうとする努力には頭が下がるが、過疎地を守ってきた団塊の世代がいなくなったあとを想像すると、楽観的な見方はできない。移住者にしても地域の期待通りに集まる保証はない。
自治体はこれまで、行政区域の範囲内ですべてを完結させようとしてきた。だから、どのような小規模自治体でも図書館や公民館などひと通りの施設を整備した結果、財政負担が膨らんでいる。しかも、今後は燃料需要が大幅に減ることを想定しなければならない。
SSを開設するのであれば、複数の自治体で対応し、各自治体の負担を抑えながら一定の商圏を確保することが一案だ。近隣のSSと少ない需要を奪い合って共倒れすることも避けられる。徳島県南部の山あいにある那賀町は、SS過疎地対策計画でタンクローリーによる巡回型SSの検討を将来課題に掲げたが、これも解決策になろう。
人口減少時代は住民生活への影響を最小限にとどめながら、持続可能な方向へ縮小することが求められている。自治体も住民も発想の転換が必要だ。従来の手法では過疎地の生活インフラをいつまでも維持することはできない。