いま、過疎地で「公設サービスステーション」が増え続けている深刻理由

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過疎地で公設サービスステーションが増えている。民間事業者の撤退を受け、地方自治体が整備しているからだが、先行きには不安がつきまとう。

公設SSはどこも厳しい経営状態

和歌山県すさみ町が公設民営で開設した「江住SS」。資源エネルギー庁「SS過疎地対策ハンドブック」より(画像:資源エネルギー庁)
和歌山県すさみ町が公設民営で開設した「江住SS」。資源エネルギー庁「SS過疎地対策ハンドブック」より(画像:資源エネルギー庁)

 過疎地ではSSで採算を取るのが難しく、新たに進出しようとする民間業者がほとんどいない。このため、自治体によるSSの設置がこの10年ほどで増えてきた。その多くが運営を民間か自治体が出資する第三セクター会社に任せる公設民営方式を採っている。

 代表例が2017年に井戸地区に公設SSを設置した奈良県川上村だ。この場所には村唯一のSSがあったが、経営者が体調を崩して廃業した。

 村は奈良県南部の山あいに位置し、冬の寒さが厳しい。暖房用の灯油が欠かせないこともあり、村がSS開設に踏み切った。

 運営は移動販売など生活インフラを維持するため、村が中心となって設立した村民支援団体の「かわかみらいふ」に委託している。

 経営は村の支援頼みの部分が大きいが、村の歳入は2023年度当初予算で約45億円。うち村税収入は6億円余りしかない。持ち出せる予算は限られる。

 村は1955(昭和30)年に約8000人の人口を抱え、林業で栄えていた。しかし、林業の衰退とともに人口減少が加速した。現在の人口は約1100人。国立社会保障・人口問題研究所は地域別将来人口推計で2045年に人口が8割減になるとしている。日本一高い減少率だ。

 自治体として存続の瀬戸際に追い込まれている状況で、村の予算は今後、さらに先細りするとみられる。かわかみらいふの三宅正記事務局長は

「人口減少に歯止めがかからない。将来を考えると頭が痛い」

と不安げに語った。

 公設民営方式のSSは北海道占冠(しむかっぷ)村や宮城県七ヶ宿(しちかしゅく)町、福島県三島町、和歌山県すさみ町、岡山県西粟倉村などで導入された。しかし、どこも急激な人口減少で厳しい経営を余儀なくされている。

住民自身が行動する地域も

津山市阿波地区であば村が運営する「あば商店SS」。資源エネルギー庁「SS過疎地対策ハンドブック」より(画像:資源エネルギー庁)
津山市阿波地区であば村が運営する「あば商店SS」。資源エネルギー庁「SS過疎地対策ハンドブック」より(画像:資源エネルギー庁)

 自治体だけに頼らず、住民自身で苦境を脱しようとする地域もある。岡山県津山市の阿波(あば)地区だ。人口500人に満たない山あいの集落が2014年、JAのSSと小売店撤退を機に合同会社「あば村」を立ち上げ、SS運営と食料品、日用品の販売を始めた。

 設立当時の出資者は約130人だったが、今は約180人に増えて地区全体を巻き込んだ事業に発展した。ただ、それでも限界集落に近づく地域での経営は厳しい。津山市地域づくり推進室は

「支援のため、タンクの更新費を市が負担することを検討したい」

と話した。

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