いま、過疎地で「公設サービスステーション」が増え続けている深刻理由
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SS誘致を決めた沖縄の村
過疎地で公設サービスステーション(SS、ガソリンスタンド)が増えている。民間事業者の撤退を受け、地方自治体が整備しているからだが、先行きには不安がつきまとう。
連なる山々にうっそうとした森が続く。川はマングローブが茂り、南国情緒が漂う。沖縄県の沖縄本島北部に位置する東村。パイナップル産地として知られる小さな村で一大事が発生した。有銘(あるめ)地区にある村唯一のSSが6月末で閉店することだ。
村は県内自治体最少の人口約1600人。公共交通は平日1日5~6往復、休日1日3往復のコミュニティーバスしかなく、自家用車が住民の足を支えてきた。SSの閉店後は約10km離れた名護市や大宜見(おおぎみ)村へ出掛けなければならない。
村は役場がある平良(たいら)地区にSSを誘致することを決めた。SSだけで採算が取れないとみてスーパーマーケットなどの店舗を併設する方針。村が整備するのか、誘致した事業者が対応するのかは、決まっていない。
SSにスーパーマーケットを併設すれば、億単位の費用がかかる。村の歳入は2021年度決算で約34億円。うち、自主財源は9億円足らずしかない。村企画観光課は
「持ち出しで財政が厳しくなる可能性はあるが、それでも村内にSSが必要」
と述べた。
SS過疎地は全国に348市町村
資源エネルギー庁によると、全国のSSは1994(平成6)年度末の約6万か所をピークに減少を続けている。2021年度末は半分以下の約2万8000か所。車の燃費向上と人口減少で需要の縮小が続く中、2035年のガソリン車新車販売禁止で経営に未来を感じられなくなっている。
タンク更新に数千万円の費用がかかることも、中小零細が多い地方の業者を悩ませる。消防法は40年を経過したタンクに全面改修を義務付けているため、タンクの更新時期に廃業する業者が多い。
資源エネルギー庁は、SSが3か所以下の自治体をSS(サービスステーション)過疎地と呼んでいる。
2021年度末のSS過疎地は奈良県黒滝村など348市町村。うち、青森県西目屋村など10町村は1か所もない。居住地から最寄りのSSまで15km以上離れた地域を抱える市町村も、高知県北川村など282に上る。