「MaaS」の由来は? 概念の生みの親MaaS Global社が新たな追加資金調達

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MaaS Global社が、新たに1100万ユーロの追加資金調達を発表した。世界で初めて「MaaS」の概念を生み出し、MaaSの社会実装を実現した同社やMaaSの成り立ちを振り返る。

MaaSの起源

 現在、欧州のMaaS Alliance(MaaSアライアンス)によると、MaaSは「幅広い種類の交通サービスを一つのサービスとして統合し、ユーザーが必要なときに自由にアクセスし選択できるようにするもの」と定義されている。

 MaaSのコンセプトはフィンランドで誕生し、MaaS Globalの創業者兼最高経営責任者(CEO)であるSampo Hietanen(サンポ・ヒエタネン)氏が提唱したとされている。

 フィンランドは2009年にサステナブルで効率的でインクルーシブ(包摂的)な交通システムをつくることを政策目標に掲げ、2012年には産官学の非公式会合「A New Transport Policy Club(新規交通政策クラブ)」を発足させた。このクラブの2013年2月の会合でサンポ氏がサブスクリプションサービスのモビリティサービスのアイデアを披露し、そこからMaaSのコンセプトが誕生したといわれている。なお同氏は、当時ITSフィンランド社のCEOだった2006年4月に、ロンドンからヘルシンキに向かう飛行機の中でこのMaaSのコンセプトを発案したとしている。

 その後もフィンランドでは都市活性化や二酸化炭素(CO2)排出削減の観点から自家用車利用を削減する政策が取られ、政府はITS(Intelligent Transport System)を通じて持続的な環境・社会・経済を実現することを掲げ、その取り組みの中で民間企業や研究機関、地方自治体と一丸となり様々なモビリティに関する実証実験が実施された。

 2015年にはフィンランドの技術庁(Tekes)と運輸通信省(The Ministry of Transport and Communications)が助成し、世界初となるモビリティサービスのオープンイノベーションプラットフォームの開発プロジェクトの公募を行い、ここでMaaSオペレーターとしてフィンランドにMaaS GlobalとTuupの2社が誕生した。

 また同年にはフィンランド政府で「2025年までに自家用車を所有する必要がない街にする」という構想も検討されており、フィンランドはまさしく世界で初めてMaaSを社会実装した国であり、現在もその最先端を行く国だといえるだろう。

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