保津川転覆事故にみる「観光川下り」の危険性 事故発生ペースは“数年に一度”も 必要なのは感情的批判ではなく、地道な対策だ

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観光川下りは事故発生のたび、安全対策が強化されてきた。しかし、それでも事故は完璧に防げていない。

事故を招く「救命用具の不備」

保津川下り(画像:写真AC)
保津川下り(画像:写真AC)

 その後も事故が相次いだことで、国土交通省は2003(平成15)年から救命胴衣を義務化した。ただ、このときの義務化は乗船する全員に対してではなかった。当時の規則では、救命胴衣の着用を次のように定めている。

・12歳未満の子どもには常に着用させる
・12歳以上も「着用に努める」

義務化の対象を12歳以下に限り、それ以上の年齢は努力義務とした。その結果、救命用具に気を配るという基本的な考えは普及しなかった。数年に一度のペースで、乗船客が転落するような事故が起きるたびに、報道では救命用具の重要性が報じられていたにもかかわらず、である。

 結局、安全のために乗船客には必ず救命胴衣を着用させる事業者が増え、2018年には全ての小型船舶で義務化されるに至ったのは、再び不幸な事故が起きてからであった。

 そのきっかけとなった事故は、2011年8月に静岡県浜松市の「天竜川下り」で起きた転覆死亡事故(5人死亡)だ。この事故の原因は、急流での操船ミスであるとされている。

 だが、運輸安全委員会の報告書では、多くの人が死亡に至った理由として

「救命用具の不備」

を指摘している。

 とりわけ報告書では、多くのページを割いて子ども向けの救命胴衣が配布されなかった「可能性」を指摘している。「可能性」としているのは、乗船客の証言のみしか証拠がなかったためだ。大人についても、

「救命胴衣を着用していなかったものと推定される」

としている。またこの報告書には、運行関係者は救命クッションの使用法を説明せず

「座布団代わりに使うとよい」

と伝えた、という乗船客の証言も記載されている。

 これらを踏まえた上で、報告書は救命クッションの利用法を説明していれば、多くの人が助かった可能性にも触れており、救命用具の重要性をより広く知らしめることになった。

 この事故以降、全国の川下りで乗船客に救命胴衣の着用を求める動きは普及した。保津川下りでも、2011年9月から乗船客に救命胴衣着用を義務化している。しかし、いかに救命用具を備えても川下りは事故危険性の高いレジャーである。熟練した船頭でも操船ミスを起こすのだ。

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