「カムリ」はなぜ国内販売終了となったのか? 「大型セダン = 成功者」という、消えゆく時代の方程式 40年の栄光を振り返る

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トヨタ自動車が先日、カムリの日本国内販売終了を通達した。なぜここに至ったのか。同車のこれまでの歩みを振り返りつつ検証してみたい。

マイナスに作用した「大きさ」

カムリ(画像:トヨタ自動車)
カムリ(画像:トヨタ自動車)

 カムリが国内専用ボディサイズを離れ、北米仕様に準じたサイズとなったことで、日本国内のユーザーの多くがとまどいを見せた。実際乗って見れば100mmほどの全幅差はいずれ慣れるレベルだが、第一印象として

「大きなクルマだ」

ということがマイナスに作用した。

 そして、大きなボディに懸念を感じたユーザーの多くはより小型の車種へ。またはどうせ大きいクルマならと使い勝手の面で新鮮味があったSUVへと流れることとなる。すなわち、この時点で多くのユーザーにとってセダンであることは

「さほど重要ではなかった」

ということである。大きなセダン、それはかつて

「成功者の象徴」

と言うべき憧れの存在だった。こうした価値観は現在も残ってはいるものの、ハッキリ言って極めて少数派である。

 一方、北米を中心とした海外市場でのセダンは、移動時に荷物が多いなど独立したトランクルームを必要とする保守的な層にとっては、車体の大きさには関係無く依然として需要があるボディバリエーションである。

 日本国内では販売終了となるカムリではあるものの、海外での現地生産モデルに加えて輸出用の国内生産モデルが無くなるわけではない。クルマの世界において、何が支持されそして流行するかは時代の要請で大きく変化するものである。今後の状況次第ではコンパクト化された上で国内市場に復活する目もゼロではないだろう。

 筆者(剱持貴裕、自動車ジャーナリスト)もそうだが、室内にはできるだけ不要なものは置きたくないという人は少なくないはずである。また車上荒らしなどを避ける意味でも外から見えないところに貴重品等を収納できるトランクルームの存在意義は大きいと考えている。

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