世界シェア2位の自動車部品を「手首」に応用 NTN手首関節モジュールの強みとは

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ベアリングメーカーのNTNが、ロボット分野の開拓を進めている。同社の手首関節モジュール「i-WRIST」は広い可動範囲が特徴。開発にあたっては、世界シェア2位のドライブシャフトの技術を応用しているという。

可動範囲が広い「i-WRIST」

手首関節モジュール「i-WRIST」(画像:NTN)。
手首関節モジュール「i-WRIST」(画像:NTN)。

 ベアリングで世界4位、ハブベアリングで世界1位のシェアを有するNTNが、ロボット分野の開拓を進めている。

 同社はタイヤの回転を支える軸受(ベアリング)や、エンジン、モーターの回転をタイヤに伝えるドライブシャフトなどを製造するメーカーだ。ベアリングは自動車をはじめ、建設・農業機械、風力発電装置、電子機器、医療機器などに広く使われている。

 会社は2018年に創業100周年を迎えた。従業員は2万3291人(連結、2021年3月末)、売上高は5628人(連結、2021年3月期)。うち海外生産比率は約50%で、海外の売上高は約70%に上る。

 このNTNが開拓を進めているのがロボットの分野だ。手首関節モジュールの「i-WRIST(アイリスト)」は広い可動範囲が特徴。最大折れ角は90度、旋回角は360度で、半球状の範囲なら特異点を持たず自由に動かせる。

 このi-WRISTは、ドライブシャフトの技術を応用しているという。ドライブシャフトは自動車のエンジンやモーターの回転を車輪(タイヤ)に滑らかに伝えるための製品で、同社の世界シェアは2位。角度を変えながら回転を伝えるドライブシャフトの技術を生かし、自由自在に動くi-WRISTに反映させている。NTNによると、4点にアプローチする時間は、従来のロボットなら4秒かかるところ、i-WRISTはおよそ3分の1の1.4秒で済むという。

 開発の担当者によると「他社のパラレルリンク機構は異なり、ピッキングには向きませんが、外観検査など観察に向いていると思います」と特徴を説明する。実際に使うには、直動アクチュエータなどと組み合わせて外観検査や洗浄装置、組み立てなどの装置とする。

 別の担当者はi-WRISTについて「2018年に量産を開始した製品だが、販売数は現在100台には達していない。グリース塗布装置での採用が多い。顧客は自動車部品メーカーが多いが、今後も拡販を進めていきたい」と展望を明かす。

 価格面については、「動作スピードの速さでカバーしている」と説明。イニシャルコストはかさむかもしれないが、スピードに加え「スペースの観点からもコストに貢献できるのでは」と自信をのぞかせた。i-WRISTの折れ角90度仕様は幅417×奥行365×高さ196mm。最大搭載質量は1.0kg。

 NTNのロボット事業分野では、i-WRISTのほか、絶対角度の検出を可能にする複列磁気リングも開発している。