JR東「オフピーク定期券」メリット満載も 社員の「通勤手当抑制」に全く同意できないワケ

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JR東日本は3月18日、「オフピーク定期券」を発売開始した。本当に役立つのか。

オフピーク通勤導入の動きはバブル崩壊後から

オフピーク定期券の仕組み(画像:JR東日本)
オフピーク定期券の仕組み(画像:JR東日本)

 通勤ラッシュを緩和するためにオフピーク通勤を導入しようという試みは、既に長期間行われている。出勤時間を調整する動きは高度成長期の「通勤地獄」の時代からあり、本格化したのはバブル景気崩壊後からだった。

 1993(平成5)年、当時の運輸省による「運輸省の時差通勤問題懇談会」では、通勤者5人にひとりの割合でオフピーク通勤を実施することを提唱している。これにより、首都圏を走る鉄道の平均混雑率を200%(身動きできない状態)から

「180%(身体は触れあっても新聞は読める状態)」

まで緩和できると考えられた。この提言に基づき、運輸省は首都圏の企業へオフピーク通勤の実施やフレックスタイム制導入を呼びかけたが、順調に進まなかった。

 それどころか、1995年の運輸省による調査では、JR常磐線、営団(当時)半蔵門線・東西線、都営浅草線・三田線では1990年に比べて混雑率が悪化するという結果が出た。なお、1995年のワースト1位は常磐線各駅停車の亀有~綾瀬間で、その混雑率はなんと247%だった。

 その主な理由は、ダイヤ改正が沿線人口の増加に対応し切れていないことだったが、同時にオフピーク通勤が

「まったく普及していない」

ことも指摘された。

 こうしたなか、当時の運輸省は1990年代後半、時間帯による料金変動制の導入をJR東日本に打診している。ところが、当時JR東日本は導入は不可能という態度を取っていた。現在とは異なり、ICカード乗車券が普及していなかったため、実務的に困難だったのである。今回のJR東日本の決断は、Suicaを初めとするICカード乗車券が普及したからこそ実現したものといえる。

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