軽自動車のボディーはなぜ「四角」ばかりなのか? 意外と知らない謎に迫る

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軽自動車は全長全幅ともに規定いっぱいのサイズを使い、さらに全高を高めたいわゆる「トールワゴン」が人気を集めている。なぜそのようになってきたかを解説する。

トールワゴンがメインへ

初代ワゴンRターボ(画像:スズキ)
初代ワゴンRターボ(画像:スズキ)

 こうした流れは1998(平成10)年10月、道路運送車両法に基づく規格改定で軽自動車のサイズが全長3400m、全幅1480mmへと拡大されたことでさらに活性化する。このサイズ拡大の背景にあったのは、2年前の1996年6月にアナウンスされていた新たな衝突安全基準がこの年から適用されたことである。

 全幅の80mmもの拡大は、側面衝突への対応が求められたことが最大の理由であり、結果として軽自動車は一回り大きなボディーを得ることとなったわけだが、その増加分はボディーの強化と車室内の生存空間の確保に回されることとなった。

 ここで有利に働いたのが、かねて人気を高めていたトールスタイルである。すなわちこの時点で商品価値を高めるために必須とされていた広い車室スペースに加えて、乗員の着座位置とドア内側との空間確保、さらに頭部周りの圧迫感を解消しながら十分な生存空間を確保しつつ、側面衝突安全に対応するために、ボディー側面の形状を垂直に近いラインで構成することが有利に作用したということである。

 なお、前面衝突への対応はSRSエアバッグが主として対応することとなったのだが、十分なエアバッグの展開スペースを確保する上で、トールワゴンならではの角度が立ったフロントガラスのレイアウトが有利に働いたことも特筆すべきことである。

 こうして、ユーザーサイドからの使い勝手に対する要求と、衝突安全性上からの要求がうまくかみ合ったことで、初代ワゴンRの登場時はあくまで既存ラインアップの隙間を埋めるかのようなニッチなモデルだったトールワゴンは、軽自動車界のメインモデルへと成長して行くこととなる。

 広く、圧迫感がない明るい室内、充実した快適装備、乗り降りしやすいスライドドアなどは、いわゆるミニバン世代の価値観にも見事にマッチすることとなる。その結果としての現在に続くトールワゴンの隆盛というわけである。

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