ゼロコロナ緩和で「中国航空会社」が各国脅威になる実に明快な理由

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2022年12月7日付のロイター通信から興味深い記事が配信された。内容を要約すると、中国のゼロコロナ政策緩和が、欧州と中国の「新たな摩擦」になるのではないかというものだ。

厳しすぎるゼロコロナから一転緩和へ

飛行機(画像:写真AC)
飛行機(画像:写真AC)

 2022年12月7日付のロイター通信から興味深い記事が配信された。内容を要約すると、中国のゼロコロナ政策緩和が、欧州と中国の「新たな摩擦」になるのではないかというものだ。

 高リスク地域での移動制限など、中国は他国に比べて厳しい政策を取ってきた。特に水際対策では、長期間の隔離を続けており、日本だけでなく海外から中国に入国するのは極めて厳しい状況だった。

 水際対策で重要だったのが、民間航空便の規制である。新型コロナウイルスの感染拡大によって、航空便が制限された。コロナ対策としての航空便の制限は各国も行っていたが、中国の場合には一段と厳しい措置が取られていた。2020年12月16日に民間航空行政を管轄する民用航空局が通知を出した。これによると、中国に到着する国際航空便で新型コロナウイルスのPCR検査を行い、陽性の乗客が3週間ゼロだった路線について、許可の範囲内で最大週2往復まで増便を認めるというものだ。

 このサーキットブレーカーのおかげもあり、中国便の増便は遅々として進まなかった。中国便の航空運賃は高止まりを続け、最も高い時期では東京~大連間の日本航空の片道航空券が15万円以上するというありさまだった。

 2022年に入り、中国以外の各国が水際対策の見直しを図り、国際旅客便が増便された。中国便も少しずつ増便されていったが、その速度は他国に比べるとゆっくりとしたものだった。サーキットブレーカー規制を含む旅客便規制については規制緩和を求める声が多かった。中国政府はこの声を受け、規制緩和に乗り出すという報道が幾度も流れたが、結局規制の見直しが図られることがないまま、11月を迎えた。

 11月24日に新疆ウイグル自治区で発生した火災をきっかけに中国全土でゼロコロナ政策に反対する抗議運動が起こった。抗議運動自体は、2021年にも小規模ながら起きていたが、今回の抗議運動は運動の行われている地域が拡大しており、海外でも同様の運動が起こっているという点でこれまでと異なっていた。

 こうしたなかで、12月7日にゼロコロナ政策の大幅緩和が発表された。ゼロコロナ政策の緩和は渡航制限にも及んだ。渡航制限は解除され、航空便が復活へと動き出したのだ。

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