ゼロコロナ緩和で「中国航空会社」が各国脅威になる実に明快な理由

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2022年12月7日付のロイター通信から興味深い記事が配信された。内容を要約すると、中国のゼロコロナ政策緩和が、欧州と中国の「新たな摩擦」になるのではないかというものだ。

欧州の航空会社にとって脅威

ウクライナ戦争(画像:ウクライナ国軍参謀本部)
ウクライナ戦争(画像:ウクライナ国軍参謀本部)

 ゼロコロナ政策の緩和に合わせて、中国は航空便を急拡大させている。しかし、渡航制限がまだ続いてもいる。

 例えば、アメリカや日本については、中国からの入国者に陰性証明を求め、増便についても消極的である。中国政府はこの措置に反発し、日本と韓国についてはアライバルビザやトランジットビザ免除の一時停止を発表している。そのため、需要はあっても供給はまだ元に戻っていない。

 一方、こうした制限がない地域でも需要が上回っている状況だ。中国と欧州便の再開が相次いでいるが、まだ航空券は高止まっている状況だ。今後、状況が落ち着けば、中国勢が有利な状況になるが、現在は航空便自体が足りない状況なので、競争状態には陥っていない。しかし、需要が落ち着けば、欧州の航空会社は現状への不満を叫ぶだろう。

 一方、日本にとってはどうだろうか。欧州勢と同様にロシア領空を通過できない。1月29日にトランジットビザ免除措置が再開されたが、日中便が依然高いままの状況で、中国経由で欧州に至るルートは考慮もされていない。コロナ前のように中国経由で欧州へと行くことができるようになるまでにはまだ時間がかかるだろう。

 ウクライナ戦争発生から1年が過ぎた。ロシアだけでなく、ロシアに制裁をかけている国々も燃料費の高騰など、制裁による日常生活への影響をまともに受けている。もちろん、だからといって、制裁を中止せよと簡単に言うことはできない。ロシアの攻撃は容認できず、ウクライナの人々は今も戦い続けている。

 しかし、短期間で終わると思われていた戦争は先が見えず、いつまで続くかわからない状況だ。こうしたなかで私たちが何をしなければならないのかを考える必要があると言えよう。

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