荷主はつらいよ! 物流危機では真っ先に「悪者」化、小売りに振り回されトホホな毎日だ

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運送会社の運賃値上げで、戦々恐々とする荷主。しかしそんな彼らにも、「荷主はつらいよ」の事情があった。

荷主ならではの事情も

倉庫内部(画像:写真AC)
倉庫内部(画像:写真AC)

 しかし、荷主も

「好き好んで今の運び方を依頼しているわけではない」

という気持ちが根底にあるかもしれない。

 リードタイムにしても、例えば運送会社にトラックをオーダーする時間を当日16時とか17時に設定している荷主がいる。オーダーを受けた運送会社は、そこから必要台数を手配し、その日の夜から翌日早朝に荷主へトラックを回す。自社で台数が足りない場合は、同業の傭車(ようしゃ。自社の仕事を別の運送会社や個人事業主に依頼すること)先を探し、何とか必要台数を確保する。

 場合によっては、予想していた台数を下回り、トラックとドライバーが余ってしまうこともある。その際は余ったトラックを使ってくれる同業者を探す。運送会社としては、オーダーを受ける時間をもっと早く、例えば当日午前中にしてもらえれば余裕を持ってトラックを手配できるので、そのような要請を荷主に行うことも多い。

 だが、荷主も「その先の顧客」からのオーダーが来ないと物量を確定できない。卸売業であれば、届け先の各小売店からの発注量が決まらないと、物流センターへの納品量や店舗への配送台数が確定しない。

 小売店の発注時間を早めない限り、トラックをオーダーする時間を早められない。小売店側の力が大きいことも多く、「早く注文をください」というのもお願いレベルにとどまっている。

終わらないリードタイム短縮競争

インターネットショッピング(画像:写真AC)
インターネットショッピング(画像:写真AC)

 EC業界では、リードタイム短縮競争が繰り広げられている。

 受注の翌日までに配送するサービスを可能にすることで、自社の商品がECモールのページ上位に掲載されたり、目立つように商品を紹介されたりする。その場合、翌日配送は止めて2~3日後に届けることを認めるのははばかられる。

 大型家具など、物量によって配送のトラック台数が大きく変わる商品では、台数の増減確定をぎりぎりの時間で運送会社にお願いしている。

 荷主も弱い立場にある例として、納入先の対応によって運送会社から運ぶことを断られることもある。筆者(田村隆一郎、経営コンサルタント)が関わった食品メーカーでは、納入先となる卸の物流センターの荷降ろし待機時間が長く、運送会社から断られたことがあった。

 卸の物流センターはメーカー各社から商品を集めているため、入荷のトラック台数が多い。その結果、納入先の物流センターに到着後、受け入れがすぐに行われず、荷降ろしできるまで3~5時間待たされることが常態化している。

 さすがにその待ち時間は許容できないとのことで、運送会社が断りを入れてきたのだ。何とか別の運送会社に大幅な運賃増加を条件に輸送を請け負ってもらったが、この場合、荷主は食品メーカーであっても、その顧客である卸の都合で運送に支障が出たのだ。

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