頼んだ荷物の「3割以上」が届かない! 2030年の物流危機はもう目の前、同じ県内でも料金が大きく変わる恐れも
2030年には全国の「約35%」の荷物が運べなくなるという予想が、野村総合研究所によって1月発表された。いったいなぜなのか。
近まる運送業者との「距離感」
消費者と運送業者との「距離感」は昨今、さらに近まりつつある。
業者の懸命な努力により、インターネット通販で注文したものが、自宅まですぐに届くのは当たり前になった。スーパーマーケットには全国各地の農産物や加工品が一堂に並んでおり、感謝の念に堪えない。
しかし、そんな日常もこれから7年あまりで崩壊するかもしれない。2030年には全国の
「約35%」
の荷物が運べなくなるというのだ。その数値は東北と四国で41%、北海道と九州で39%と地域によって異なる(需要に対する供給の割合)。頭に浮かぶのは、トラックがやって来ず、収穫された野菜が腐っていくような情景だ――。そんな衝撃的なリポートを、野村総合研究所が1月に発表した。
有効求人倍率「2.1」も人手不足
リポートの名は「トラックドライバー不足時代における輸配送のあり方」。通販や小口輸送の増加で荷物の総量が増加する一方、ドライバー不足は深刻になっているのがその理由だ。
ドライバー不足は既に深刻で、厚生労働省によれば、職業全体の有効求人倍率(2020年)が1.1になっているのに対して、トラックドライバーを含む自動車運転の職業は
「2.1」
となっている。単純に考えて、ほかの職業に比べて2倍の需要があるにもかかわらず、人手が足らない状況が続いているのだ。