頼んだ荷物の「3割以上」が届かない! 2030年の物流危機はもう目の前、同じ県内でも料金が大きく変わる恐れも

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2030年には全国の「約35%」の荷物が運べなくなるという予想が、野村総合研究所によって1月発表された。いったいなぜなのか。

10年で30代ドライバーが大幅減

「トラックドライバー不足時代における輸配送のあり方」(画像:野村総合研究所)
「トラックドライバー不足時代における輸配送のあり方」(画像:野村総合研究所)

 さらに深刻なのが、現在働いているドライバーの高齢化だ。2008(平成20)年と2018年の年齢別構成比を見ると、2008年時点で最多だったのは30~39歳の29%だ。これが2018年には

「18%」

まで減少している。対して、40~49歳は24%から31%に増加。60歳以上も13%から17%まで増加している。高齢ドライバーの労働でようやく維持されているのが、現在の物流業界の実情なのだ。

労働者保護が業界を苦しめる?

「トラックドライバー不足時代における輸配送のあり方」(画像:野村総合研究所)
「トラックドライバー不足時代における輸配送のあり方」(画像:野村総合研究所)

 そこに「2024年問題」も襲い掛かる。自動車運転業務はこれまで、

「時間外労働の上限規制対象」

から除外されていた。しかし、2024年4月から自動車運転業務の時間外労働の上限が年960時間に制限されるのだ。最近、メディアでもよく報道されるようになったのでご存じの人も多いだろう。

 4月以降、年間拘束時間の上限は現在の年3516時間から原則3300時間に、1か月293時間から原則284時間になる。

 上限規制そのものは、労働者を長時間労働から守るために行われる。ただ、前述のとおり、現在は

「運ぶ荷物は増加しているのに、人手が足りない」

状況だ。そんななかで上限が設けられたこともあり、ドライバーの確保はさらに困難となるわけである。

 労働者を保護する点において、上限規制は正しい。しかし、荷物を運べなくなっては本末転倒である。このふたつの問題をいかにして同時に解決するか――物流業界は現在、その難題に挑戦している。

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