頼んだ荷物の「3割以上」が届かない! 2030年の物流危機はもう目の前、同じ県内でも料金が大きく変わる恐れも

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2030年には全国の「約35%」の荷物が運べなくなるという予想が、野村総合研究所によって1月発表された。いったいなぜなのか。

同じ自治体で料金が大きく変わる懸念

「トラックドライバー不足時代における輸配送のあり方」(画像:野村総合研究所)
「トラックドライバー不足時代における輸配送のあり方」(画像:野村総合研究所)

 実際、何の対策もなく2024年4月以降に上限規制が実施された場合、問題は深刻となる。野村総合研究所は、運べなくなる荷物の割合の県別データを公開している(一部地域のみ)。東北地方全体は41%だが秋田県では46%(2030年)で、四国全体は40%だが高知県では42%となっている。

 現実的に考えれば、荷物はあるのにトラックが全くやってこないケースは少ないだろう。しかし、荷物の数が少なく配達効率の悪い地域は運送料金が跳ね上がるかもしれない。

 同じ県内でも、荷物の多い地域は運送料金が現状維持される一方、荷物の少ない過疎地は「離島扱い」と似たような料金体系になる可能性も指摘されている。

 離島扱いの料金・対象地域はさまざまだが、都市部や本土に比べて高額に設定されていることもある。一例をあげると、佐川急便は常温便の場合、「2000円上乗せ」となることを明記している。同社の場合、沖縄県は全域が離島扱いだ。というわけで、一部の自治体において

「県庁所在地は安いが、ほかの地域はプラス数千円」

といった事態も起こりえる。

共同配送という切り札

輸配送の共同化の状況(画像:野村総合研究所)
輸配送の共同化の状況(画像:野村総合研究所)

 そのようなこともあり、物流業界はドローンなどの先端的な輸送方法の研究を強化している。さらに重視されているのは、業務の効率化だ。小口の荷物は

・インターネット通販の普及
・在庫を持たない企業の増加

によって急増しており、非効率化を引き起こしている原因でもある。その解決策としては、共同配送を進めてトラックの積載率を向上させるというものがある。共同配送とは、複数の運送会社が共同でトラックやコンテナに他社製品の荷物を積載して配送することだ。野村総合研究所の資料によると、共同配送で積載率を現状の約38%からで55%に向上させれば、供給量の不足は2030年でまで

「約7%」

まで抑えられるとしている。

 これを既に実施しているのが食品業界だ。

・日清オイリオ
・日清フーズ
・ミツカン
・ハウス食品
・味の素
・カゴメ

では2016年以降、物流拠点から小売店への共同配送を実施している。またビール業界ではさらに早く、アサヒビールとキリンビールが2011(平成23)年から実施している。その後、一部地域ではサッポロビールとサントリーも参加した共同配送が行われている。

 このほか、アパレル業界を始め多くの業界が共同配送に取り組んでいる。変わったところでは、出版取り次ぎの日販がある。出版取り次ぎはこれまで独自の流通網を持っていたが、人手不足と人件費の高騰から維持が難しくなりつつある。そこで日販は2018年から一部地域において、運送業者ではなく

「宅配便」

で書店へ配送している。北海道ではセイコーマートの流通網を利用している。

 共同配送が今後、スタンダードとなるのは確実だ。この波に乗り遅れれば、商品はあっても売れないという「本当の危機」がやってくる。

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