「EV = 環境保護」の建前崩壊? バッテリー原料巡って各地で反対運動 「先祖からの農業つぶすな」の声に責任とれるのか
EVに欠かせない鉱物「リチウム」。そんなリチウムを巡って近年、世界各地で反対運動が起きている。
リチウムを作れば水不足が進む現実

リチウムの生産は、現在主に次のふたつの方法で行われている。
・塩湖かん水の濃縮(チリ、アルゼンチン)
・スポジュメン鉱石の精製(オーストラリア、中国)
アタカマ砂漠の東部、チリ、アルゼンチン、ボリビアの国境が交わる部分は、「リチウム三角地帯」とも呼ばれているリチウムの重要生産地域で、塩湖や塩湿地、塩原でリチウムの生産が行われている。
しかしながら、塩湖かん水を濃縮する方法によりリチウムを生産する場合、大量の水を必要とするため、生産地域において生活用水や農業用水の枯渇を引き起こす。また、リチウムを精製する際に硫酸ナトリウムなどの副産物が生じるため、適切に廃水処理を実施しないと水質汚染や土壌汚染につながる可能性がある。
チリ、アルゼンチンなどの国にとって、リチウムの需要増は莫大(ばくだい)な富を得るための大きなチャンスだが、古くからそこで暮らしてきた人たちにとっては水不足や環境汚染の要因にほかならないのだ。
例えば、アルゼンチンのサリーナス・グランデスでは、先住民コラ族が
「リチウムにノー、水と生活にイエス」
と抗議活動を行い、ふたつの鉱山会社を塩湿地から追い出している。
現時点では、抗議活動は地域的、あるいは限定的であるといわれているものの、今後リチウム三角地帯における生活環境の悪化によっては、大規模な抗議活動に発展する可能性を秘めている。