新車の納期はなぜ遅れ、中古車はなぜ高騰するのか 現在のクルマ業界をおさらいする

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ここ数年で車の常識は大きく変わった。その背景には、車のパーツに欠かせない半導体の壊滅的な供給不足がある。業界でいったい何が起こっているのか。

半導体不足解消で中古車の価格は下がるのか!?

関連企業はどう動くのか(画像:写真AC)
関連企業はどう動くのか(画像:写真AC)

 今後、車業界の動向は中古車メインになっていくのだろうか。先に述べた通り、中古車の価格は右肩上がりとなっているのが現状である。半導体不足解消は現在のところ諸説あるものの、さまざまなメーカーが独自の戦略を立てて立ち向かっている現状だ。もちろん、日本国内だけでなく欧米の自動車メーカーも同様である。

 車も消耗品であることから、新車が買えない状況であれば中古車をメインに考える人が増加する可能性が高い。ただし、「半導体不足が最悪だった時期は乗り越えた」との声もあることから、今後世界的に大きな出来事がない限りは、現状より大きく悪化することは考えにくい。そのため新車を購入したい場合には1年、もしくは2年前から車を注文しておくというのも、ひとつの方法なのかもしれない。

 ただし、半導体問題が解決に向かっていると言っても、中古車の価格が落ち着くのはさらに先になることが予想されている。なぜなら、現在販売されている新車台数が、数年前と比較すると圧倒的に少なくなっているからだ。コロナ禍による半導体不足で新車の生産数が大幅に減少したため、その間に製造された車は中古車市場に出回る数が減ってしまう。

 中古車の価格を下げるには、市場における車の在庫が多くなければ難しい。このことから、新車の供給が十分に行き渡るようになってから数年たたなければ、中古車市場に車が増えることは考えにくいのである。

 新車の供給が回復し、すぐに新車へ乗り換えるほうが多ければ10年落ち程度の中古車から順に価格が下がりそうなものであるが、現在の景気動向を考えれば、それも難しいことが想像できる。「車不足」の現代において、車の購入に苦労する状況はまだ続きそうである。

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