新車の納期はなぜ遅れ、中古車はなぜ高騰するのか 現在のクルマ業界をおさらいする
車業界は依然変化なし

2023年をめどに半導体市場自体は持ち直すといった情報もあるが、自動車用半導体はいまだ不足しがちな状態だ。
これは自動車に使用される半導体の必要数に関係している。半導体の需要に対する供給量は回復してきているものの、以前よりも若干生産量が増えたということにすぎない。
電化製品を作成している会社はどこも半導体を欲しているため、おのずと増加分をどこに割り振るかという問題になる。しかし、パソコンやスマートフォンと自動車を比較していくと、生産台数は圧倒的にパソコンやスマートフォンのほうが多く、買い替えるスパンも短いことから、こちらを優先したほうが半導体業界は利益につながりやすい。
半導体の生産量が今よりも飛躍的に向上しない限り、自動車業界に半導体が十分に行き渡ることはないと言えるだろう。
新車不足が中古車に与える影響

また、中古車の値段が上がり、新車の値段を追い越す現象も起きている。
以前から見られたプレミアがついた車の価格が新車の値段を追い越す現象はよく見られたが、今は現行車種の中古車が新車の値段を上回っているのだ。現在新車を購入しようとすると、運よく在庫車があるケースを除けば半年や1年以上待つことになることも。
パソコンやスマートフォンなど、家電であれば「それでも待とう」と思えるかもしれないが、車の買い替えに関しては「車検」という問題がついて回る。車を買い替えるきっかけとしてよくあるのが、「現在乗っている車の車検が切れてしまうこと」だろう。「数か月後に車検が切れるため、その前に車を買い替えたい」と思っても、現状では新車が手に入らないのである。
そこで、今度は「新車を検討していた車種の中古を検討しよう」という人が増加する。しかし、その人数が多いと今度は中古車の数がどんどん少なくなり、結果として中古車の金額が新車を上回る結果となってしまうのだ。現行車の値段が上がってくると、モデルチェンジ前の車でも良いという人も現れる状況にあり、結果的には中古車全体の値段が上がっているのである。