「ママチャリ + ヘルメット」は確かにダサい! でも着用「努力義務化」まであと数か月、今こそ正しい道交法を知るときだ

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道交法が改正され、すべての自転車利用者に対し、ヘルメット着用が努力義務とされることをご存じだろうか? 「努力義務だから関係ないでしょう」と思う人もいるかもしれないが、実はそれ、大間違いである。

法律における努力義務とは

13歳未満は既に努力義務(画像:写真AC)
13歳未満は既に努力義務(画像:写真AC)

 今回改正されるのは、道路交通法第63条の11である。

(改正前)
【児童又は幼児を保護する責任のある者の遵守事項】
児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児を自転車に乗車させるときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。

(改正後)
【自転車の運転者等の遵守事項】
1.自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
2.自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
3.児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。

 今まで、ヘルメット着用の努力義務があったのは、児童または幼児(13歳未満)が対象だった。それがすべての年代に拡大されるのである。

 冒頭でも申し上げたとおり、努力義務について、「違反してもなんら問題がない」もしくは「努力さえしておけば、結果やらなかったとしてもOK」と解釈する人がいるが、これは間違いである。

 義務や禁止事項を定めるハードロー・アプローチに対し、「○○するように務めなければならない」という努力義務はソフトロー・アプローチと呼ばれる。

 ソフトロー・アプローチは、義務・禁止といった強行規定になじまない事柄や、立法化が時期尚早、もしくは立法化の合意が実現しなかった場合に用いられる。すなわち、法律を定める国の方針としては、「違反しても何ら問題がない」などという意識はみじんもなく、むしろ将来の義務化を見据えた準備段階にあると考えるべきだ。

 飲食店における喫煙規制を例に挙げよう。

 2003年に施行された健康増進法第25条では、受動喫煙を防止するため、多くの人が利用する施設の管理者は受動喫煙を防止するために必要な措置を推進するように務めなければならないとされた。

 例えば東京都内において、喫煙可能な店が激減しているのはご存じの通りだ。これは、東京都が独自に東京都受動喫煙防止条例を定めているからである。だが、健康増進法第25条の規定そのものは、現在も努力義務のままである。都道府県単位で見れば、東日本では独自に条例を定めていることが多く、西日本では定めていない府県が多い(市区町村レベルで定めているケースはある)。

 このように努力義務をうたうソフトロー・アプローチでは、国が大枠を定めた後、義務化のような強制力の定めは、地方自治体に委ねられることも多い。

 また、地方自治体や影響力のある業界団体などが発行するガイドラインや行政指導などによって推奨されたり、もしくは順守した場合のインセンティブが設けられたりするケースもある。

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