広島「福塩線」は利用者8割減! 収支はジリ貧、ローカル線に漂う無力感 歴代自民の“地方重視”とは何だったのか
JR各社のローカル線収支が出そろった。いずれも人口減少とコロナ禍のWパンチで大幅に悪化している。路線維持の願いはもはや風前のともしびになってしまったのだろうか。
失敗重ねた政府の地方振興策

国鉄民営化当時、政府はJR北海道、四国、九州の3社に対し、経営安定基金を設けて赤字を資産運用の収益で埋め合わせることにしていた。しかし、1990年代には低金利時代へ突入し、当初のもくろみが破たんした。
日本全体が人口減少に突入したのは2009(平成21)年から。ローカル線沿線ではもっと前から過疎化が深刻さを増していた。しかし、政府はいずれの時期にも新たなローカル線対策に踏み切らず、JR各社の自助努力に任せていた。
この間、人口減少に苦しむ地方対策には手を出している。その代表例が2014年にスタートした地方創生だ。東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけるとして、中央省庁の地方移転や東京23区内の大学新増設抑制などを打ち出したが、地方の自民党離れを食い止めた以外に目に見える効果は出なかった。
しかも、このときもローカル線問題と真正面から取り組む姿勢を見せなかった。
・地方の時代
・国土の均衡ある発展
・ふるさと創生
など、昭和の時代から歴代自民党政権が打ち出してきた地方重視のスローガンと同じ結末を迎え、地方には無力感と不満が広がっている。
ローカル線の行方は公共の力で支えなければ、廃止するしかない状況に来ている。国と地方の財政状況を考えると、ローカル線を公共の力で存続させられる機会は今が最後かもしれない。