最近の新型バイクから「公道最速」「峠最速」のキャッチコピーが消えた理由

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現代、モーターサイクルの価値基準はその速さだけにとどまらない。しかし、かつて「世界最速」を競い合い、性能を進化させてきた華々しい歴史がこの業界にはあった

大戦後、「世界最速」を誇ったメーカー

 1940年代に入るとブラフ・シューペリアが倒産してしまったことで、速いモーターサイクルの称号はH.R.Dヴィンセントが独占することとなる。

 第2次世界大戦後の1946年になると、シリーズAラパイドはシリーズBへとモデルチェンジ。エンジンとシャシーをともに一新したことで、その性能はさらに向上する。さらに、ラパイドの上位モデルとしてエンジンをチューンし、黒いエナメルでペイントしたブラックシャドウが追加されることとなる。

 ブラックシャドウの最高速度は、良好な路面条件さえ伴えば125mph(約201km/h)も可能とうわさされ、押しも押されもせぬ世界最速モーターサイクルの称号を得ることとなる。

 さらに1948年には、シリーズBからシリーズCへとマイナーチェンジを受け、フロントサスペンションをガードロリックフォークと命名された油圧ダンパー内蔵の新型へと更新。

 この時点でのラパイドとブラックシャドウの最高出力は55hpと言われており、その総合性能はさらに高まっていた。

 この頃のH.R.Dヴィンセント・ラパイドとブラックシャドウは、ともにその迫力たっぷりの排気音から「snarling beast(唸る野獣)」というニックネームも奉られていた。その速さは元より、ルックス、サウンド、たたずまいの全てにおいて、正しくスポーツモーターサイクル中のスポーツモーターサイクルだったというわけである。

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