日本入国緩和で露呈した深刻な「空港スタッフ不足」 出発遅延たびたび、インバウンド殺到に応えられぬ過酷な現実とは
国際線の便数はコロナ禍で10分の1に

航空会社がコロナ禍で最も影響を受けたのは「国際線」だった。日本発着の国際線、その便数をコロナ禍含む過去5年で振り返ると、次の通りだ。
●国際定期便の直行便(便数/週)
・2018年夏ダイヤ:4926便
・2019年夏ダイヤ:5285便
・2020年夏ダイヤ:454便
・2021年夏ダイヤ:478便
・2022年夏ダイヤ:665.5便
コロナ前は全国で週5000便あったのが500便弱に減り、直近の夏ダイヤも650便余り。およそ10分の1に減った計算だ。2022年に若干増えているのは、2022年3月1日以降、日本到着時の隔離義務を緩和したことで在外邦人の一時帰国などが増えたことによる需要増が主な理由だ。
なお、上記のデータはあくまで「便数」である。旅客便での使用機材を、コロナ禍での需要減で、従来の大型機から座席数の少ない小型機に変更した航空会社も多かった。便によっては、乗客が簡単に数えられるほど少なかったという話も、コロナ禍でよく聞かれた。
2022年の夏ダイヤは10月29日までで、10月30日から冬ダイヤとなった。日本の新型コロナウイルスの水際対策緩和が正式発表されたのが2022年9月26日。10月11日まであまりに日がなく、飛行機の場合は数日内に増便するのは難しい。発表直後から冬ダイヤからの運航再開、増便の動きも若干見られたものの、その動き以上に外国人旅行客の動きは速かった。
日本の国際空港はどこも長蛇の列

急な入国緩和に対し、さまざまな面で対応が追いつかない状況が生じている。
まず、日本発着の旅客便だ。当初予定していた便はすぐ満席になった。小型機を座席数の多い大型機に機材変更するも、それでも空席はすぐ埋まる状況だ。増便するには、使用機材の手配、乗務員の手配も必要だ。合わせて、出発や到着の空港で対応するスタッフの確保も要る。
この「スタッフ不足」が、航空業界で深刻な問題を及ぼしている。コロナ禍で需要が急減して人員が余り、他業種への出向や解雇なども当時話題となった。それが急に需要が戻っても、スタッフはすぐには戻らない。このスタッフ問題が先に露呈したのが2022年春から夏にかけてのヨーロッパだ。空港で手荷物を取り扱うスタッフが大幅に不足し、手荷物の遅延や紛失が続発して大問題となったのは記憶に新しい。
混雑しているのは、航空便だけではない。日本の国際空港でも、搭乗手続きのカウンター、保安検査場、出入国審査、さらに税関など、今はどこも長い行列ができている。カウンターの数に余裕があるのに、スタッフが明らかに少ない。コロナ禍で一部のみ営業のラウンジも混み合っている。行列が長くて出発時刻に搭乗ゲートにたどり着けない、国によっては入国書類のチェックが必要で搭乗手続きに時間がかかり、出発便の遅延もたびたび発生している。