ただの懐古趣味じゃない! 1964年誕生「初代シルビア」が今でも全然色あせないワケ
1964年の第11回東京モーターショーに参考出品された日産のダットサン・クーペ1500。半年後にニッサン・シルビアとして発売されるこの1台は、今でも色あせない魅力を放ち続けている。
現代も色あせない美しさの理由
一方、インテリアに目を向けると、そこはイタリアンテイストにあふれた豪華な世界だったのが特徴である。インパネ & ダッシュボードはブラック。対してセンターコンソールやドア内張り、さらにはシートをクリーム色と、2色でコーディネートしていた当たりは、イタリア製GTそのものといっても良かった。
ダイヤモンドをカットしたかのようなエッジの効いた魅力的なスタイルに上品なインテリアを兼ね備えたニッサン・シルビアは、120万円という当時の2リッタークラス最上級セダンを上回る価格と固有のエレガントさを武器に、いわゆるフラッグシップとは異なるイメージリーダーとしての役割をしっかりと果たした。
ただしそのボディ内外から受ける女性的な印象とは裏腹に、ドライバーに与える印象はフェアレディそのままのワイルドなものだったということは、あまり知られていない事実だった。
固いサスペンションに荒々しいエンジン、もちろんパワーステアリングもオートマチックミッションも設定はなく、そのドライビング感覚はテイストにあふれたオシャレなものというよりは、古典的なスポーツカーのそれに近かった。
ニッサン・シルビアは、1965(昭和40)年3月から1970年までに544台が手作り同然に生産された。その間マイナーチェンジは特になく、最初から最後まで注文生産状態にあったといっても過言ではない。
その美しさは現代の評価基準に照らしても、決して色あせてはいない。