ただの懐古趣味じゃない! 1964年誕生「初代シルビア」が今でも全然色あせないワケ
1964年の第11回東京モーターショーに参考出品された日産のダットサン・クーペ1500。半年後にニッサン・シルビアとして発売されるこの1台は、今でも色あせない魅力を放ち続けている。
抜群のボディ剛性を誇る1台に
今、あらためてシルビアのボディを入念に観察すると、ウインドー、ドア、ボンネット、トランクの各開口部を除けば、メインキャビンとフロントフェンダーとの間や、前後バンパー下といった部分に継ぎ目が全くないことに驚かされる。
もちろんこれらは別に1ピースで成型されていたわけではなく、それぞれを組み立てた後に継ぎ目をパテやハンダで埋め、磨き上げた上で塗装していたというもの。
その結果、シルビアはオープン2シータースポーツカーがベースでありながら、抜群のボディ剛性の高さを誇ることとなった。
これは、ボディ剛性というクルマの総合性能に強く影響を及ぼす要素が、今ほど声高に語られることがなかった時代のエピソードである。
シルビアのパワーユニットは、SP311ことフェアレディ1600に先行するものとして、1.6リッターのOHVユニットをSUツインキャブレター他によって最高出力を90hpに高めた仕様が選択された。
駆動系はポルシェタイプのサーボシンクロを備えた、クロスレシオ4速マニュアルという、スポーツカーらしいスペックである。サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン/コイル、リアにリーフ・リジッドというもの。
前輪にはディスクブレーキが装着されていたものの、フェアレディ譲りのラダーフレームと合わせて極めてオーソドックスだった。
ボディデザインとそのシルエットは、立体物の角をナイフで削ぎ落としたかのような、アグレッシブさとともに新時代のテイストを感じるものだったが、メカニカルな部分は英国風そのものだったといっていい。