日立が「中国離れ」検討へ 台湾リスクで低価格時代は終焉を迎えるか

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日立製作所が、中国や台湾をめぐる状況に懸念を示し、サプライチェーンの拠点を移すことを検討していると表明した。地政学リスクという観点から、サプライチェーンのあり方が変化しつつある。

台湾の積極外交に不満、軍事的威嚇で対抗

台湾のイメージ(画像:写真AC)
台湾のイメージ(画像:写真AC)

 そして、2022年8月のペロシ米下院議長の台湾訪問によって、中国はこれまでなく強い軍事的威嚇(いかく)を示したが、今後はそれを常態化させることが懸念されている。

 仮に台湾有事となれば、中国が台湾周辺の制海権や制空権を取る恐れがあり、そうなれば日本の経済シーレーンも脅かされることになろう。そして、米国の同盟国である以上、日本は米国と協力することになり、中国とは対立軸で対応することになる。

 そうなれば、日中関係が冷え込む可能性は極めて高く、軍事的手段のハードルが高い以上、中国と日本との間で経済や貿易のドメインを舞台とした紛争や摩擦が激しくなることが考えられよう。

 こういったリスクを懸念してか、大手自動車メーカーのホンダは8月、国際的な部品のサプライチェーンを再編し、中国とその他地域のデカップリング(切り離し)を進める方針を明らかにした。

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 一方、ロシアに進出する日本企業の間では、再び脱ロシアの動きが加速化している。

 ウクライナ侵攻で大きな動きが見られない中、プーチン大統領は9月、一部市民を戦場に駆り立てる部分的動員を実行に移し、ウクライナ東部南部4州のロシアへの併合を一方的に宣言。これにより、ロシアを取り巻く情勢はいっそう厳しくなった。

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