開発難航の「三菱スペースジェット」 カリスマなき体制で、日の丸の翼は消えゆくのか

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開発が難航している三菱スペースジェット。日本の航空機製造産業は復活できるのか。

三菱スペースジェットの役割

三菱スペースジェット(画像:三菱重工業)
三菱スペースジェット(画像:三菱重工業)

 日本の航空機製造産業は世界最高レベルだったが、戦後、連合国軍総司令部(GHQ)によって解体された。三菱スペースジェット(MSJ)はそんな技術を取り戻し、再び世界に羽ばたくことを目指しているものの、開発が難航している。

 航空機メーカーのボンバルディア(カナダ)やエンブラエル(ブラジル)がMSJのような航空機を開発する背景には、地域間交通の重要性の高まりがある。乗り換えなしで、地方空港から地方空港へフライトしたいというニーズが多いのだ。

 航空機の運航形態には

・ハブ&スポーク
・ポイントトゥポイント

の2種類ある。

 ハブ&スポークは大型機でハブ空港に乗り入れ、そこから乗り換えをして目的地の空港へ向かう形態で、主に欧州で採用されている。一方、ポイントトゥポイントは、ハブ空港を経由せず直接目的地の空港へ向かう形態で、主に米国で採用されている。地域間交通には、後者が適している。

 ふたつの運航形態のうち、ポイントトゥポイントのフライトに適しているのが、MSJのようなリージョナルジェット(客席数が50~100程度の小型ジェット機)と呼ばれる機種だ。小型ながら一定の座席数があり、高速で乗客を輸送することができるため、ポイントトゥポイントのフライトに適している。

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