タクシーはそもそも「公共交通機関」なのか? 乗客とドライバーに漂う微妙な空気、15年ぶりの運賃値上げで考える
短距離の乗客とタクシーの公共性

乗客とドライバーがギクシャクするケースは、ほかにもある。
「(目的地が)近いですけど、いいですか?」
大半の近距離客は、申し訳なさそうにこう言う。現役ドライバーでもある筆者(二階堂運人、物流ライター)はかつて、そんな彼らに「何か嫌な思いをされたのですか」と尋ねたことがあるが、
「あからさまに嫌な顔をされた」
「乗車を断られた」
などと言っていた。
近距離客の数をこなすより、遠距離客を引き当てて楽に稼ぎたいと考えるのはドライバーの性だろう。タクシーのヘビーユーザーは付け待ちのタクシーではなく、流しのタクシーを捕まえる。付け待ちのタクシーは遠距離客にかけるドライバーも多いのだ。このようにドライバーの特性を知っていれば、お互いに嫌な思いをしないで済む。
ところで、タクシーは「公共交通機関」なのだろうか。これの議論は以前からなされているが、タクシーはバスのように、バスレーンといった公道の優遇、法規上の優遇があまりない。そのような観点から見ても、
「タクシー = 公共交通機関」
と認識されていないだろう。タクシー業界が「売り上げ至上主義」である以上、難しい。しかし、上記に挙げた事前確定運賃が定着すれば、公共交通機関として認識されるかもしれない。
バスや電車などの公共交通機関に乗るためは、バス停や駅に自ら足を運ばなければならないが、タクシーはドアツードアが可能だ。容易に外出できない人にとっては、とても頼もしい存在である。乗客とドライバーがWin-Winになる仕組みを、そろそろタクシー会社と国が考えるときではないか。
さらに、タクシーにもう少し手軽な価格で乗ることができれば、公共交通機関として認識されるかもしれない。今回の運賃値上げが、タクシーにネガティブなイメージを付けないよう、筆者は願っている。