豊洲市場でおなじみの「ターレ」 実は日本固有だった! でも生誕秘話は意外と知られず いったいなぜ?
市場や工場、倉庫などの施設内での短距離商品輸送に使われている、ターレット式構内運搬自動車。日本固有のこの小型輸送トラックが誕生した歴史は、実のところ判然としない。
構造のベース、英国のオートトラック?

構造的なベースとなったのは、1920年代初めにイギリスで誕生したリスター・オートトラック。このモデルは誕生以来、現在のターレットトラックと同じ用途でイギリス国内とその友好国で広く普及していたと言われている。
それが太平洋戦争終結後、日本に進駐してきた英連邦軍によって日本国内に持ち込まれ、めざとい日本人によって構造がコピーされたのではないか、ということである。
実際のところ、リスター・オートトラックの基本デザインと構造はターレットトラックに酷似している。エンジン、駆動系、前輪を一体構造とし、回転式ターレットの上にマウントしステアリングはそこで行う、という操縦方法は全く同一である。
偶然似てしまったとはとても思えない。
何よりも太平洋戦争終結後間もなくの日本では、進駐軍が持ち込んだ大小さまざまな産業機械が多彩な現場で人々を驚愕(きょうがく)させており、その中にリスター・オートトラックがあったとしても何の違和感もないということである。
ちなみにリスター・オートトラックを製造していたR.A.リスター&カンパニーは、1867年創業の後に産業機械全般の製造を手掛けていた歴史あるメーカーであり、1920年代から1930年代に掛けては各種汎用エンジンや農業機械でその名声を高めた。
オートトラックもそうした中での成功作だった。