「半導体不足」「パンデミック」の状況下、サプライチェーンを回復させるために必要な8つの要素とは?

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回復力のあるサプライチェーンの重要性は、新型コロナウイルスの感染拡大で明らかになった。今後の展望とは。

回復力のあるサプライチェーンとは

コンテナ船の入港(画像:写真AC)
コンテナ船の入港(画像:写真AC)

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が明らかにしたもののひとつに、レジリエンス(回復力)のあるサプライチェーン(製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れ)の重要性がある。

 自動車メーカーが新しいサプライチェーン戦略を採用して、迅速な回復を図り、将来の成長に向けた体制を整えたのは当然の流れだった。多くのメーカーがサプライチェーンの可視性の向上と収益性の維持のため、危機管理チームを立ち上げ管理体制を整えた。それは、予測的なリスクマネジメントや多階層のサプライヤーとのコラボレーションなどの高度な戦略へと発展している。

 自動車業界がサプライチェーンの変革を推進する一方で、半導体不足という別の混乱も続いている。現代の自動車には何千個もの半導体が搭載されているため、サプライチェーンのリスクエクスポージャー(リスクにさらされている度合い)を別次元にし、供給量が世界的に限られた状態は、多階層のパートナーと協力することの重要性を浮き彫りにした。

サプライチェーンの可視化は必須

半導体業界のダイヤモンド型のサプライチェーン(画像:佐藤幸樹)
半導体業界のダイヤモンド型のサプライチェーン(画像:佐藤幸樹)

 そんななか、自動車需要が落ち込んだ当初、半導体メーカーは、家電やハイテクなど、他業界からの需要増加に対応するための転用を余儀なくされた。自動車需要が予想より早く回復したとき、半導体の供給不足が露呈した。

 半導体不足の問題は、半導体業界のダイヤモンド型のサプライチェーン(図)に起因している。この種のサプライチェーンネットワークは、完全に垂直統合され、自立しているメーカーはごくわずかだ。ほとんどの製造は生産能力に制約があり、リードタイムを引き伸ばすことの多い下位層のサプライヤーに委託されている。下位層レベルでの混乱は、その上の階層に直接影響を与え、間接的に完成車メーカー(OEM)にも影響を与える。

 下位層レベルの供給を可視化することで、ボトルネックを早期に特定し、危機をよりよく管理することができる。現在、自動車メーカーにおいて、

・サプライチェーンの可視化
・サプライヤーとのコラボレーション

は、もはや「あれば便利」ではなく、競争力を維持し、ビジネスを継続するための重要な要素となっている。

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