日本の物流企業は欧米の100倍優秀! 誤出荷はわずか「1万分の1」、しかしこれが物流崩壊を招く原因だった
私たちはeコマースの「送料無料」を当たり前の存在と思っているが、現実はそうではない。実のところ、送料無料は「まやかし」にすぎないのだ。
企業間物流での「見えない構図」

運送事業者からすれば、運賃を支払ってくれる顧客は商品を出荷する側の企業だ。商品を受け取る側の企業から指示を受けたとして、契約外の依頼に対応する必要はない。しかしながら、その結果としてクレームが入ると、契約を切られてしまうかもしれない。
このような境遇にあるからこそ、運送事業者は商品を受け取る側の企業からの指示にも最大限対応しようとする。結果として、トラックドライバーの実労働時間が想定よりも長くなることは珍しくない。
なぜ、このようなことが起きるのか。それは、商品を受け取る企業からすると、一見送料無料であるがゆえに、運送に対するさまざまな要求がコストアップの一因になっていることを自覚しにくいからだ。
当たり前だが、誤出荷を限りなくゼロにしようとすれば、出荷前検品の精度・回数を高めなければならない。指定の時間に遅滞なく届けようとすれば、渋滞が発生するリスクを考慮して早めに出発する必要がある。そのすべてがコストアップに結びつき、最終的には商品価格に転嫁されているのだ。
日本の物流品質は「欧米の100倍」

欧米では、このような事態は生じていない。商品価格と送料は別立てで請求することが一般的だからだ。
商品を購入する側の企業がトラックを手配することも、少なからずある。高品質な運送を求めれば、その分だけコストに跳ね返ってくることが明らかであるからこそ、過度な要求をすることもないのだ。
実際の物流品質の差を見れば、その違いは歴然だ。業界による多少の相違はあれど、日本の一般的な誤出荷率は
「約0.01%」
遅配率は
「約0.03%」
だ。
これに対して、欧米の一般的な誤出荷率・遅配率は1%を超える。日本の物流品質は欧米と比べて100倍も高いのだ。