EV普及で高まる「中国依存」 内燃維持かEV投資加速か、両者の歪みを飲み込むヨーロッパの複雑事情

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EU各国の環境担当大臣による会議で、2035年以降における新車のガソリン車やディーゼル車の販売禁止が条件付きながらも合意に至った。今後、内燃機関搭載車はどうなるのか。

ドイツの加速するEV関連投資

EV(画像:pixabay)
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 ドイツ国内では、EVに関する議論をよそに、ギガファクトリーの新設などのEV関連投資がますます加速している。将来、ドイツ製のEV用バッテリーがヨーロッパの4分の1をカバーすることになるという予測もあるくらいだ。

 フラウンホーファー・システム・イノベーション研究所(ISI)は、2020年代末におけるヨーロッパ全体のバッテリー生産能力は1.5 TWhまで拡大し、そのうち約0.4 TWhがドイツで生産されると試算している。

 フォルクスワーゲンは、7月7日にドイツのニーダーザクセン州において、最初のギガファクトリーの建設に着手した。同社は、さらにバッテリー生産工場を5か所建設するとしている。この新しい事業に対し、2030年までにパートナー会社と合わせて200億ユーロ(約2.7兆円)を投資するそうだ。

 スウェーデンのノースボルトは、ドイツ北部にあるシュレスビヒ・ホルシュタイン州に、同社で3番目となるギガファクトリーの建設を公表している。なお、同工場の年間生産能力を60GWh (EV100万台相当)と見込んでいる。

 現時点において、40社を超えるメーカーが、ヨーロッパ15か国でEV用のバッテリーを生産すると見込まれている。

ポルシェはe-Fuelプロジェクトに出資

EV(画像:pixabay)
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 2022年4月、フォルクスワーゲン傘下のポルシェは、チリなどでe-Fuelの製造プロジェクトを実施しているHIFグローバルに、7500万ドル(約10億円)出資すると発表した。ポルシェによると、このプロジェクトで製造されたe-Fuelを、当面はモータースポーツで試験的に利用するそうだ。

 実は、ドイツ連邦政府は、チリでのe-Fuelの製造プロジェクトに参画しているシーメンス・エナジーに823万ユーロ(約11億円)を助成し、合成燃料製造を支援してきた。

 しかしながら、e-Fuelに対する投資額や助成額と、フォルクスワーゲンによるEVバッテリー関連投資の200億ユーロ(約2.7兆円)を比較しただけでも、ヨーロッパの自動車業界は、明らかにEVにシフトしているといえよう。

 EUが、条件付きでありながらもガソリン車などの販売禁止にかじを切った以上、原材料調達リスクを抱えながらEV化へと突き進むしかない。

 とはいえ、約2.5億台ともいわれているEUの自動車が、これから先EVにシフトするのだ。今後も拡大するギガファクトリーの新設などのEV関連投資が、現代の錬金術として、莫大(ばくだい)な利益をもたらす可能性は非常に高い。

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