EV普及で高まる「中国依存」 内燃維持かEV投資加速か、両者の歪みを飲み込むヨーロッパの複雑事情

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EU各国の環境担当大臣による会議で、2035年以降における新車のガソリン車やディーゼル車の販売禁止が条件付きながらも合意に至った。今後、内燃機関搭載車はどうなるのか。

ドイツが態度を表明しなかったワケ

ドイツの街並み(画像:写真AC)
ドイツの街並み(画像:写真AC)

 実のところ、ドイツは、EU各国の環境担当大臣による会議の直前まで、態度を明確にしていなかった。それは、連立与党の連立協定書においてe-Fuel(合成燃料)車の存続を明記していることもあるが、ドイツ国内において、

「内燃機関搭載車を完全に廃止してよいのか」

という議論が白熱していたからだ。

 環境保護団体に加え、フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツなどの大手自動車メーカーは完全EV化を歓迎している。

 大手自動車メーカーが完全EV化を歓迎する理由は、以下のように報道されている。

・いつかはCO2排出量ゼロのEVにシフトしなければならない。
・EVは内燃機関搭載車よりも部品点数が少なく、労働力の確保が不要になる

 逆に、内燃機関搭載車の存続を望む側の主な意見は、以下のとおりだ。

・EVの車両価格が高い。
・内燃機関やe-Fuelの技術的な発展を放棄してはならない。
・EVの普及により、原材料調達などにおいて中国への依存度が高くなる。

 原材料調達リスクは、コバルトやマンガン、リチウムなど、バッテリー製造に欠かせない金属について危惧されている。

 参考として、コバルトやマンガン、リチウムの生産量あるいは輸出量における国別シェア(2019年)の1位から3位を以下に示す(出典「鉱物資源マテリアルフロー2020」独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)

・コバルト地金生産量:中国65%、フィンランド10%、ベルギー・カナダ各5%
・マンガン鉱石生産量:中国43%、南アフリカ21%、オーストラリア8%
・炭酸リチウム輸出量:中国37%、ベルギー22%、オランダ18%
・水酸化リチウム輸出量:中国40%、カナダ33%、オランダ11%

 このように、バッテリー製造の原材料における中国の存在感は非常に大きい。原材料の供給停止リスクなど、中国への依存度の高まりを懸念するのも無理はない。

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