ETCを超える「ETCX」 料金所以外で重宝も、普及に立ちはだかる「一時停止問題」という厚き壁
ETCXの展開に必要なものとは

例えば、ETCにおいても一時停止しなければならない場所がある。その場所とは、スマートインターチェンジ(SIC)だ。SICは決済手段をETCに限定することにより、従来のインターチェンジよりもはるかに簡素な設備での展開を可能にしたが、その代償として料金所においては一時停止をしなければならない。
これはドライバーにとってデメリットだ。だが、それを理由にSICを利用しないドライバーはほとんどいないだろう。それどころか、SICの利用者や設置要望は高まる一方だ。つまり、ドライバーはSICにおける一時停止のデメリットよりも、
「SICが存在することによって享受するメリット」
を大きく感じているのだ。
ETCXの展開にあたっては、こうしたドライバーの心理状態をうまく把握し、活用する必要がある。料金所において一時停止しなければならないものの、それでも従来ETC非対応であった有料道路において、キャッシュレスでタッチレスな決済ができる。そして、将来的に料金所以外でも、ドライバーを取り巻く数多くのジャンルの施設において、同様にキャッシュレスでタッチレスな決済ができるようになる。
一時停止問題の解決方法は、決してハード面の技術的なものではない。ETCXがドライバーに享受するメリットをいかにうまく訴求できるか。ここにかかっている。
この問題が解決すれば、その後の展開は早いことだろう。ETC未導入の多くの有料道路でETCXが導入され、その実績を見て他ジャンルの施設もETCXを導入する。そうすれば、ドライバーを取り巻く社会構造はガラッと変わる。キャッシュレス決済に加え、タッチレス決済が当たり前となるのだ。その立役者がETCXとなるわけだ。
かつてETCの登場はドライバーを取り巻く社会の構造を大きく変えた。まさに「時代の革命家」だ。果たしてETCXは、ETCを超える時代の革命家となり得るだろうか。駆け出しの今こそが、その正念場だ。