ETCを超える「ETCX」 料金所以外で重宝も、普及に立ちはだかる「一時停止問題」という厚き壁
普及に立ちはだかる「一時停止問題」

そうは言っても、前述の通りETCXはまだまだ駆け出しのシステムだ。2022年7月現在、ETCXが正式導入されているのは、従来のETCが非対応だった有料道路料金所5か所、およびガソリンスタンド1か所にとどまっている。
ETCXの今後の展望としては、もちろん目標に掲げている全てのジャンルにおいて、ETCXを広く普及させることにあるが、まずは従来のETCとジャンルが重複する有料道路から展開していくのが定石だろう。
ただ、有料道路への導入を楽観視することはできない。なぜなら、有料道路におけるETCXにはデメリットが存在するからだ。
それは、料金所においては必ず一時停止を行い、料金所のスタッフが決済処理を完了させるまで発進できないことだ。これは、料金所においてETCX用に整備しなければならない設備が、ETCよりも簡素化されていることが原因だ。
設備が簡素化されているために、導入コストの高さを理由にETC導入を見送ってきた有料道路運営事業者にとって、ETCXは大いにメリットとなり得る。
だがその一方で、その簡素化された設備が原因で一時停止を強いられるドライバーにとってはデメリットになる。ETCの名を冠していると
「料金所をノンストップで通過できる」
という印象をドライバーに与えてしまうので、なおさら不便に感じることだろう。
こうしたドライバーのマイナス感情を払拭(ふっしょく)できなければ、ETCXの利用者は増えない。そうなると有料道路運営事業者もETCX導入メリットを感じなくなり、有料道路においてETCXは普及しない。もちろん他ジャンルの施設もETCXを導入しない……という負のスパイラルが待ち受けているのだ。
ゆえに、料金所における「一時停止問題」の解決こそが、ETCX普及のカギとなる。そのためには、「料金所における一時停止」というデメリットをどこまで打ち消すことができるかがポイントとなるだろう。