ETCを超える「ETCX」 料金所以外で重宝も、普及に立ちはだかる「一時停止問題」という厚き壁
ETCXが目指す世界とは

現代社会にはキャッシュレス決済の波が押し寄せている。それはドライバーを取り巻く環境においても同様だ。有料道路における支払いにおいてETCが主流となっていることは言わずもがな、運転中に立ち寄る飲食店のドライブスルーやガソリンスタンドといった施設においても、各種ポイントカードやクレジットカード、交通系ICカードといったキャッシュレス決済を利用する場面は数多く存在する。
ここで考えてほしい。例えば自動車で旅行へ行くとき、財布やスマートフォンを取り出さずに料金支払いを行う場面があるだろうか?
答えは、ETCが利用可能な有料道路の料金所以外の場所では「NO」だ。すなわち、当該料金所以外では、あらゆる場所で支払いの際にドライバー(または同乗者)がわざわざカバンやポケットから財布やスマートフォンを取り出して支払いをしなければならないのだ。いかにキャッシュレス決済を多用しようと、この行為から逃れることはできない。そして、特にドライバーにとっては、この行為は運転中にストレスに感じる。
ETCXが目を付けたのはここだ。すなわち、ETCXはドライバーを取り巻く支払い環境におけるキャッシュレス決済のみならず、ハンドルから手を離さなくても支払いができるタッチレス決済をも目指しているのだ。ゆえに、ETCXの展開対象には、
・(ETC非対応の)有料道路
・ドライブスルー
・駐車場
・ガソリンスタンド
・フェリー
・EVスタンド
・ごみ処理施設
が掲げられている。
支払時に財布やスマートフォンを取り出す行為には、少なからずリスクが伴う。財布やその中身、スマートフォンを誤って落とすことにより破損・紛失する可能性がある。また、運転中に何かを出し入れする行為は、事故を誘発する可能性もある。そして何より、そうした可能性に配慮しながら運転をすることは、少なからずドライバーにとってストレスであり、そのストレス自体が事故を誘発する可能性もある。
このように書くと「何を大げさな」と感じる人もいるだろう。だが、運転中に発生する手間やストレスは少ない方が良いに決まっている。ETCXが目指しているのはそういう世界なのだ。