EV普及の「最後の壁」を打破? 修理相談3年で5.2倍 “アルファード超えサイズ”が突きつける都市インフラの現実
国内シェア4%を超え普及期に入ったEVだが、維持管理の現場では「物理的摩擦」が露呈している。修理相談は3年で5.2倍に急増。アルファード超えの巨体と高額な部品交換慣行が、オーナーの重荷となっている。板金塗装の「民主化」と標準化は、EV経済圏を支える新たなインフラとなれるか。最前線の構造変化を追う。
32拠点が導く修理の標準化

全国32の直営工場を動かす同社の試みは、EV修理の現場で得た知見を組織の力へ変える役割を担っている。これまで個々の職人が抱え込んできた経験を、全店舗で共有可能なデータとして積み上げ、広範なネットワークを通じてどこでも受けられる標準的なサービスへと高めている。
蓄積された膨大な損傷の記録は、仕上がりのばらつきを抑える力になる。手入れの領域が個人の腕頼みから産業として確立された流れへと移り変わる動きは、新しい技術が社会に馴染んでいく速さを支える要素となるだろう。
EVを広めるうえで、新車の値引きや充電スポットの整備は政策的な支えが届きやすい場所にある。だが、購入後の修理や手入れは市場の動きに委ねられる面が強く、場所や店によって代金に差が出やすい。
日本の街なかを走る機会が増え、接触機会が比例して増えていくなかで、きちんと直せる拠点が全国へ広がることは、車にかかる全ての費用を左右する。修理の仕組みが分かりやすくなり代金が適正化されれば、手放す時の値打ちを保つことにも結びつき、中古車市場を含めたEV経済圏全体の循環を促していくだろう。