EV普及の「最後の壁」を打破? 修理相談3年で5.2倍 “アルファード超えサイズ”が突きつける都市インフラの現実
国内シェア4%を超え普及期に入ったEVだが、維持管理の現場では「物理的摩擦」が露呈している。修理相談は3年で5.2倍に急増。アルファード超えの巨体と高額な部品交換慣行が、オーナーの重荷となっている。板金塗装の「民主化」と標準化は、EV経済圏を支える新たなインフラとなれるか。最前線の構造変化を追う。
巨体EVと国内インフラの摩擦

2026年3月、国内のEV・プラグインハイブリッド車のシェアは過去最高の4%台に乗った。テスラや比亜迪(BYD)といった海外勢の進出により、世界水準で作られた車両と日本の都市インフラとの物理的なあつれきも目立ち始めている。
例えば、テスラの「モデルY」は全幅が1920mmに及ぶ。国内の大型ミニバンの代表格であるトヨタ・アルファードの1850mmと比べても、さらに70mm大きい計算だ。BYDの「シール」が持つ1875mmやテスラ「モデル3」の1850mmという数字も、日本の一般的な機械式駐車場や入り組んだ路地では、接触やこすり傷のリスクを避けがたく高めてしまう。
こうした背景には、修理市場そのものが抱える構造的な変化も重なっている。これまでのEV修理は、たとえ軽微な傷であっても正規ディーラーではユニットごと部品を入れ替える見積もりが出されるのが通例だった。高度な安全を守るための判断とはいえ、これが修理費を跳ね上げ、持ち主の負担を重くする一因となっていた事実は否めない。
そこで、高額な交換に頼り切らず、確かな技術で車体を修復する板金塗装の領域が、費用を適正に保つ道として存在感を強めている。EVは高電圧バッテリーの保護やセンサーの配置、特殊な鋼板の使用など、これまでの車とは異なる作りをしており、こうした情報を正確に読み解き作業にあたれる場所はこれまで限られてきた。
相談実績の伸びは、地域ごとの格差や情報の偏りが解消され、修理の流れを整える動きが進んでいることを示しているだろう。