親子で空港争奪戦?「2800億円」の新線計画が突きつける、老舗アクセスの生存条件

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東京モノレールは、2026年6月に浜松町駅新駅舎の一部供用を始め、「東京パノラマライン」や体験型施策でブランド強化を進める一方、JR東日本は2031年度開業予定の羽田空港アクセス線を整備し、競争環境は大きく変わりつつある。空港利用9,143万人という拡大市場の中で、両路線の役割はどう変わるのか。

経営の変遷と現在の財務状況

モノレール浜松町新駅舎完成時の外観イメージ(画像:東京モノレール)
モノレール浜松町新駅舎完成時の外観イメージ(画像:東京モノレール)

 東京モノレールは東京オリンピックの開催を間近に控えた1964(昭和39)年9月、跨座式モノレールとしては世界で初めての都市交通機関として開業した。

 戦後復興から高度成長期へと向かう時期にあって、モノレールは未来の乗り物として期待を集めたが、開業当初は運賃が高く、経営は思うように伸びなかった。1967年には車両メーカーである日立製作所の傘下に入り、社名を日立運輸東京モノレールに変更した。1981年には日立運輸の名を外したものの、その後もしばらく日立グループのもとで事業を続けた。2002(平成14)年にJR東日本が筆頭株主となり、2023年8月には完全子会社化され、現在に至っている。

 開業当初は浜松町と羽田の間を途中駅なしで結ぶ路線だったが、その後は中間駅が順次設けられた。羽田空港の沖合展開や国際線ターミナルの新設にともない、空港側の路線延伸や一部変更はあったものの、都心と羽田空港を結ぶアクセス交通という基本的な役割は変わっていない。

 官報データベースなどで公開されている情報によると、東京モノレールの第44期(2024年4月1日~2025年3月31日)決算では、営業収益は130億5500万円、経常利益は19億8500万円で、利益率は15.2%となっている。鉄道事業としては高い水準だ。

 一方で空港アクセス交通という特性から、コロナ禍では利用が大きく落ち込み、2025年3月31日時点で383億8100万円の債務超過となっている。ただし、事業そのものは利益を確保しており、今後大規模な感染症や災害などがなければ、返済可能な水準にあると見られる。

 赤字路線を多く抱える親会社のJR東日本から見れば、東京モノレールはグループ内の相乗効果も含め、収益面で安定した事業体であると評価できる。

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