「赤字1億円超…」 秋田のローカル線が続ける鉄印戦略――売上の2割を稼ぐ“もう一つの収益源”とは
秋田の由利高原鉄道が進める鉄印販売は、売上6242万円のうち商品販売が1243万円と2割を占める一方、赤字補填は補助金頼みの構図だ。通学定期半額化など独自策で利用増を狙う現場の実像を追う。
通学定期半額化と域外収益への挑戦

由利高原鉄道は商品販売に力を入れる一方で、本業である鉄道でも工夫を行っている。そのひとつが通学定期の大幅な値下げである。
都市部と違い、地方のローカル線では高校生の通学利用が最大の需要となる。しかし少子化の進行により、高校生の数そのものが全国的に減っており、利用者の確保は難しくなっている。こうしたなか、由利高原鉄道ではアンケートの結果、
「通学定期が安くなれば利用する」
という声が多いことがわかり、2021年4月から通学定期をおおむね半額に引き下げる制度を始めた。初年度の利用者は8割増え、その後も増加が続いたため、制度は毎年続けられている。公式サイトでも2026年4月28日時点で継続中である。
単純に考えれば、運賃を半額にすれば同じ収入を得るには利用者を2倍にしなければならない。一方で、従来の高いままでは利用が半分以下に落ちる可能性もあったとも考えられる。思い切った値下げではあるが、他の第三セクター鉄道でも検討する余地はある取り組みだ。
なお、由利高原鉄道は商品販売や通学定期の大幅な値下げのほかにも、
・イベント列車の運行
・一部列車での案内役の乗務
・アニメ作品との連携
・沿線の観光施設との連携
など、さまざまな収入増の工夫を行ってきた。これらは他の第三セクター鉄道でもよく見られる取り組みであり、商品販売もそうした工夫のひとつに位置づけられる。
現状では売上が1200万円規模、粗利が600万円規模であり、1億円を超える赤字を埋めるには力不足であることは否めない。それでも商品販売は、利用が減る沿線の外にも広げられる事業であり、地域の外から収入を得る手段としての意味を持つ。
由利高原鉄道のこうした取り組みは、今後も注目される動きである。