「赤字1億円超…」 秋田のローカル線が続ける鉄印戦略――売上の2割を稼ぐ“もう一つの収益源”とは
秋田の由利高原鉄道が進める鉄印販売は、売上6242万円のうち商品販売が1243万円と2割を占める一方、赤字補填は補助金頼みの構図だ。通学定期半額化など独自策で利用増を狙う現場の実像を追う。
ピーク時から激減した利用者と巨額の赤字

由利高原鉄道は、旧国鉄矢島線を引き継ぎ、1985(昭和60)年に鳥海さんろく線として開業した全長23kmの第三セクター鉄道だ。
開業当時は本荘市・由利町・矢島町にまたがる路線だったが、2005(平成17)年の1市7町の合併により、羽後本荘から矢島までの全区間が由利本荘市内に収まった。2025年3月31日時点の株主構成は、秋田県が38.5%、由利本荘市が38.5%で、ほかに地元の銀行や商工会などが名を連ねる。県と沿線の自治体が主導する、典型的な第三セクター鉄道である。
開業から1991年までは黒字だったが、多くの第三セクター鉄道と同様に、車の普及や少子化、人口減の影響を受け、その後は赤字が続いている。年間の利用者数は1986年の63万人を頂点に減り続け、コロナ禍の2021年には13万人まで落ち込んだ。その後は持ち直し、2024年には19万人まで回復したが、ピーク時の3分の1ほどにとどまる。
直近では、前述の第41期の売上高6242万円に対し、商品仕入れや運送費などの原価は1億2554万円で、差し引き6312万円の赤字となった。これに一般管理費などを加えた経常赤字は
「1億772万円」
に達する。特別利益としての補助金3億5963万円を加えても、最終的な収支は213万円の赤字だ。なお、補助金については固定資産圧縮損というやや特殊な会計処理が行われている。
一般の民間企業であれば経営が行き詰まる水準だが、県と地元自治体が株式の77%を持つ第三セクターであるため、多額の補助金によって事業が保たれているのが実情である。