韓国旅行、「損する人」「賢い人」の境界線とは? 7割超が変えない決済手段、その裏で膨らむ“見えないコスト”とは

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韓国旅行ブームの陰で、決済は変わらない。クレカ40.1%、現金33.4%で7割超を占め、WOWPASSも利用は2割未満にとどまる。利便性より学習コストが優先される現実が、支払いの分断を固定化している。

韓国旅行人気と決済問題の浮上

韓国旅行のイメージ(画像:写真AC)
韓国旅行のイメージ(画像:写真AC)

 2026年のゴールデンウィーク(GW)、日本の旅行者がもっとも熱い視線を注いだのは韓国だ。旅行予約アプリ「NEWT」を運営する令和トラベル(東京都渋谷区)の分析によれば、海外旅行先の格付けで韓国が2025年から順位を上げ、1位に選ばれた。ブッキング・ドットコムの検索データでもソウルが首位を占めており、2026年の大型連休はまさに「韓国一色の様相を呈している。

 背景にあるのは、円安の定着と5月以降に控えた燃油サーチャージの上昇だろう。コストの重みが増すなかで、旅行者の間では「気軽に行ける近距離」と「価値ある体験を求める長距離」への二極化が進んでいる。特に3割を超える人々がテーマパークや文化施設での実体験を求めて海を渡る。活況を呈する需要の裏側で、にわかにクローズアップされているのが「現地での支払い問題」だ。ソウルの企業、ミンフォが2026年4月28日に発表した調査結果は、決済の実態を生々しく伝えている。直近5年以内に渡航した日本の女性553人のデータを見ると、次々と新しい支払い手法が登場しているにもかかわらず、古い習慣が根強く残っている実態が浮かび上がる。

 具体的な中身を覗くと、クレジットカードが40.1%、現金が33.4%。このふたつだけで全体の7割を超えているのが現状だ。一方で、モバイル決済は7.7%、現地発行カードは5.9%、デビットカードは5.6%、プリペイドカードは4.8%と、いずれも低い水準に留まる。利便性の高さで注目される多機能プリペイドカード「WOWPASS」にしても、現在の利用者は16.3%、過去に一度でも使ったことがある人は15.0%と、いま実際に使いこなしている層は全体の2割にも満たない。

 こうした数字は、旅行者がかつての成功体験をなぞり、使い慣れたやり方に頼り続けていることを物語っている。画期的なサービスを使い始める手間が、現状を維持する手軽さをなかなか超えられない。どれほど便利になっても、それを理解するための負担が壁となり、結果として市場の変化を止めている。新しい仕組みを覚える煩わしさを避け、既存のインフラに無理やり自分を合わせる旅行者の姿には、効率化の余地を認めながらも変化を拒む心理が影を落としている。

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