韓国旅行、「損する人」「賢い人」の境界線とは? 7割超が変えない決済手段、その裏で膨らむ“見えないコスト”とは
韓国旅行ブームの陰で、決済は変わらない。クレカ40.1%、現金33.4%で7割超を占め、WOWPASSも利用は2割未満にとどまる。利便性より学習コストが優先される現実が、支払いの分断を固定化している。
産業構造の壁とふたつの将来像

決済、交通、そして両替を担う担い手がバラバラであるという現実が、機能の統合を阻んでいる。企業から見れば数日で帰ってしまう外国人観光客は一時的な客に映るため、多額の費用を投じて利便性を高める動機が生まれにくい。各社が自社の利益や囲い込みを優先しあうなかで統合が進まないのは、今の不自由な状態のままでもそれぞれの商売が成り立ってしまっているからだろう。
分断された支払い手段を束ねるには、旅行者が空港に降り立った直後の動きを捉える必要がある。入国審査の待機時間や市内へ向かう鉄道の車内など、支払いに不安を感じている瞬間に案内やサービスをセットで届ける工夫が欠かせない。物理カードの発行という手間をなくし、スマートフォンの財布機能に直接組み込まれ、到着して最初の5分で使いこなせるようになれば状況は大きく変わるはずだ。
今後5年から10年の展望を描くと、当面は利用シーンごとに異なる手段を使いわける日々が続くだろう。熱心なリピーターの間で多機能サービスが定着することはあっても、旅行者全体の習慣を根底から塗り替えるにはまだ力が足りない。
将来の姿は、おそらくふたつの道にわかれていく。ひとつは地図やメッセージといった日常アプリに決済が溶け込み、意識せず支払いが完了する形。もうひとつは、クレジットカードによるタッチ決済が交通インフラの隅々まで広まり、世界共通の規格がすべてを覆い尽くす形だ。もしカード一枚で移動から買い物まで事足りるようになれば、特定の地域に特化したプリペイドカードは役目を終える。市場の行方は、既存の巨大なインフラがどこまで自らを進化させられるかにかかっている。