かつては「印刷と町工場の街」――大阪駅至近のエリアが、ファミリー賃貸「41位→1位」に躍り出たワケ

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大阪の賃貸市場で異変が起きた。ファミリー向けで福島駅が前年41位から1位へ急伸、総合も14位から4位に浮上した。大阪駅まで約2分という近接性に加え、人口8万3678人・密度1万7918人/平方キロメートルの集積、再開発の進展が検索需要を一気に顕在化させた。

都心内郊外機能という構造的矛盾

1985年頃の福島駅周辺の様子(左)と現在(画像:今昔マップ)
1985年頃の福島駅周辺の様子(左)と現在(画像:今昔マップ)

 福島の特筆すべき点は、都市中心部でありながら、

「かつて郊外が担っていた居住機能」

を備えていることだ。通常、子育て世帯は広い住居や教育環境を求めて高槻市や茨木市といった郊外を選択するが、福島では工場跡地の活用による住宅供給がその受け皿となっている。

 シティタワー西梅田(177m、50階)やThe Tower Osaka(177m、50階)、OSAKA Fukushima Tower(160m、45階)、キングマンション堂島川(142m、43階)といった超高層マンションが密集し、高度利用によって住戸面積を確保した。これにより、徒歩で梅田に接続できる立地を維持しながら、2LDK以上の広さを求める世帯を吸収している。

 生活を支える社会基盤も高密度に整う。病床数565を誇る地域医療機能推進機構大阪病院や、400床を備える関西電力病院などの大規模医療機関に加え、4.67平方キロメートルの区域内に10校の市立小学校が点在する。利便性と生活環境の両立により、移動時間を削減して生活の質を維持したい層が集中した。

 水平方向に広がる郊外の利点を、垂直方向の集積によって都心の至近距離で実現している。この特殊な空間構造が、ファミリー賃貸市場での需要急増をもたらしたのだろう。

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