物流網を蝕む「8.2兆円」の歪み――商品価格に潜むコスト負担の行方【短期連載】1リットルの重み(3)

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見えにくい物流の限界が、いま価格として表れ始めた。小売167兆円のうち物流費は約9兆円、だが実態は15.7兆円規模に膨らむ。8.2兆円の不足は誰が負うのか。300円が315円になる現実を前に、負担配分の議論は避けられない。

スーパーの棚から見る物流費

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

「物流は経済の血流である」という言葉は、これまでになく重みをもって受け止められている。2026年のいま、直面しているのは人手不足にとどまらない。より避けにくく、企業ごとの努力では対応しきれない燃料費の上昇、すなわち軽油価格の高騰である。給油機に表示される数字は、運送会社の収支の問題にとどまらない。荷主企業の供給網に影響を及ぼし、やがては消費者が手にする牛乳一パックの価格にも広がっていく。トラックのタンクに入る燃料の一滴一滴が、日本の産業の力を押し下げている現実がある。この状況にどこまで目が向けられているだろうか。本短期連載「1リットルの重み」では、この燃料価格の上昇という課題をさまざまな視点から捉え直す。

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 物流網は、運輸や小売に関わる人でなければ、ふだん意識されにくい見えにくい基盤だ。そのため、一般の消費者がトラック事業者の厳しい状況や、倒産が高い水準で続いている現実を実感する機会はほとんどない。

 加えて、物流網の崩れは、ゆっくり進むため表に出にくいというやっかいな性質がある。気づいたときには、立て直しが難しい段階まで機能が落ちているおそれもある。

 消費者が変化を感じ取る数少ない場面が、食品や日用品の値上げである。では、物流費の上昇は、最終的な商品価格にどの程度影響するのか。

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