「技術の日産」逆襲の序曲――レアアース9割削減・全固体電池が示す、日本発EVと経済安全保障の新局面
6500億円の赤字と2万人削減に揺れる日産は、販売6割減の苦境下で全固体電池の実用化(2028年度)とレアアース9割削減を進める。資源依存からの脱却と供給安定を軸に、再建の行方が問われている。
再建への疑問と実態

販売台数がピーク時の6割に落ち、6500億円の赤字という数字を見れば、再建を疑う声が出るのは当然だ。全固体電池の2028年度実用化も、遠い話に映るかもしれない。だが、数字の表面だけを見ていると、現場で起きている変化を見誤る。
2万人の人員削減、7工場の閉鎖、5000億円のコスト削減は、ただの縮小ではない。肥大化した組織を整理し、効率的な体制に作り直すための決断だ。
技術面でも手応えはある。重希土類を9割以上削減したモーターは、地政学リスクが現実化する今の時代に大きな意味を持つ。全固体電池の実証も、理論段階を超え、実車搭載を見据えた段階に入っている。
日産の再建には、企業単体の努力だけでなく、産業全体の仕組みを変えることも必要だ。国には、性能だけでなく資源依存度も評価に組み込んだ支援策への転換が求められる。企業は開発期間の短縮と車種の絞り込みで効率を上げる必要がある。日産は全45車種を3つの共通基盤に集約し、世界販売の8割以上をカバーする計画だ。1台あたりの販売効率を3割以上高めることで、台数に頼らない収益構造を目指す。
電気自動車(EV)の価値をどう広げるかも重要だ。双方向充電器を2028年から低価格で普及させ、家庭と車の間で電力をやり取りできるようにする。2030年以降は、車に蓄えた電気を電力会社に売る仕組みを一般化させる。車を移動手段から電力インフラの一部へと位置づけることが、日本のものづくりが競争力を取り戻す道のひとつになるだろう。