「優先席には座りません」 33%の人が守り抜く“空席”の品格? トラブル回避意識が分断する“座る/座らない”の判断基準とは

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優先席をめぐる意識は二極化している。調査では「座る」66.9%に対し、「座らない」33.1%。トラブルや視線を避ける心理が広がる一方、SNSの影響で迷いや緊張も増す。譲り合いと明確なルール、その最適な均衡が問われている。

大澤准教授が指摘する「明文化の罠」

電車の優先席の利用状況に関する調査(画像:わかもと製薬)
電車の優先席の利用状況に関する調査(画像:わかもと製薬)

 近畿大学の大澤聡准教授は、産経新聞の記事(2026年2月27日付け)でこうした現状を踏まえ、厳しいルールを作ることの危うさを指摘している。同氏は

「倫理やマナーには正解がないため論争になりやすい。SNS上の賛同を得ることで、自分は間違っていないと確認したいのだろう」

と述べており、他人の目を気にする層やトラブルを避けたい層の心理は、まさにこの正解のない問いに向き合う不安の表れだといえる。さらに大澤氏は

「昨今の日本社会はこの手の問題を厳密なルールとして明文化する傾向にあるが、それだとかえって公共性が失われかねない」

と警鐘を鳴らす。ここでいう公共性の低下とは、本来であれば乗客同士がその場の状況を見て調整していくやり取りが、ルールを守るか破るかという単純な基準に置き換わってしまうことを指すのだろう。

 ルールを細かく定めることは、一見すると秩序を保つ方向に働くように見える。ただ、その分、人が互いに様子を見て譲り合う余地は狭まる。結果として、数値や外見だけでは捉えきれない事情を抱える人が見えにくくなり、車内の緊張がかえって強まる可能性があるのだ。

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