高齢ドライバーの「免許返納」はなぜ進まないのか? 社会学者が地方で見た非情な現実とは

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2019年時点の70歳以上の運転免許保有者は1195万人。これは1975年のおよそ「90倍」だ。高齢ドライバーの免許返納に向けた取り組みが現在、各地で行われている。

地方における課題と実態

岩手県陸前高田市広田町(画像:(C)Google)
岩手県陸前高田市広田町(画像:(C)Google)

 筆者らは2020年、岩手県陸前高田市広田町で移動・外出状況に関わる調査を実施したが、地方ならではの課題・実態を改めて確認できた。

 例えば75歳以上で運転免許を保有している割合を見てみると、46%が保有しており、80歳以上でも男性の52%、女性の19%が保有していることがわかった。

 また買い物や病院などのいずれの外出目的で見ても、後期高齢者の4割以上が、日常的な移動手段として「自分で運転」と回答しており、自家用車に依存せざるをえない傾向にあることがうかがえた。

 また、調査での自由記述欄からは

「今は困っていないけれど、もし運転することができなくなったらという不安はあります」(60歳代、女性)
「自分が運転できなくなったらどうしようと不安な毎日です」(70歳代、女性)

など、将来的な移動手段に対して不安を感じる声も聞かれた。

 こうした調査結果から、後期高齢者というライフステージの終盤の段階にあっても、不安を抱えながらもハンドルを握って日常生活を送っていることが推測される。

 一方、陸前高田市では広田町をはじめ、市内の交通不便地域に居住する後期高齢者等を対象としたタクシー運賃助成の実施や、デマンド交通の展開、路線バスの拡充など、積極的な施策を打ち出してきている。

 また、住民主体での路線バス乗車体験会の企画や、市議会議員らによるデマンド交通の登録促進などが進められており、先の

「将来的な移動手段に対する不安」

に対する課題解決が模索されている途上である。

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