「トランプの怒りを買いたくない」高市政権が背負う80兆円――対米投資前倒しは関税回避か、北米偏重の始まりか
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衆院選で圧勝した高市政権に対し、トランプ氏は80兆円の投資を迫り、25%関税を盾に挑む。南鳥島レアアースによる脱中国と日米規格独占で「要塞」を築けるか。国内空洞化や報復リスクが渦巻くなか、2030年代を生き抜く「二重供給網」への冷徹な転換と経営判断の正解を示す。
絶対安定多数の意味

2026年2月8日に行われた第51回衆議院議員総選挙において、自民党が単独で3分の2を確保し、絶対安定多数という強い権力基盤を手に入れた。これは日本の政治史に新たな記録を残す結果となった。今後、高市政権は自らが強く掲げる経済安全保障の強化、すなわち米国との間でレアアースや半導体などの戦略物資、先端技術分野における協力を加速させていくことになる。
一方、この強力な政権基盤を得た高市政権の誕生を鋭い目で見つめてきたのがトランプ大統領である。トランプ氏は高市首相の保守的スタンスを全面支持と公言しながらも、その裏ではビジネスマンとしての厳しいディールを仕掛けている。
特に、石破前政権時に約束された80兆円規模の対米投資の履行速度が遅いことに対し、トランプ大統領は強い不満を抱いているという。トランプ大統領は1月、韓国が貿易協定を着実に履行していないとして、韓国製品への輸入関税を25%に引き上げると発表したが、日本に対しても同様の圧力を掛けてくる可能性は十分にある。日本の主な対米輸出産業は自動車であることから、高市政権がどういった積極策を打ち出していくかは、日本の自動車業界の今後を大きく左右するだろう。
この緊張感のなかで、高市・トランプ関係の真価が試される場となっているのが、南鳥島におけるレアアース採取事業だ。高市首相が提唱するこの国家プロジェクトは、電気自動車(EV)モーター用磁石などに不可欠な重要鉱物の中国依存を脱却する
「脱中国供給網」
の象徴である。3月の高市首相の訪米、そして4月にトランプ大統領の訪中が予定されているなか、高市政権がトランプ政権との間でこれに代表される経済安保政策をどう円滑に進めることができるのか、その手腕が問われることになりそうだ。