「トランプの怒りを買いたくない」高市政権が背負う80兆円――対米投資前倒しは関税回避か、北米偏重の始まりか
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衆院選で圧勝した高市政権に対し、トランプ氏は80兆円の投資を迫り、25%関税を盾に挑む。南鳥島レアアースによる脱中国と日米規格独占で「要塞」を築けるか。国内空洞化や報復リスクが渦巻くなか、2030年代を生き抜く「二重供給網」への冷徹な転換と経営判断の正解を示す。
筆者の意見

筆者(和田大樹、外交・安全保障研究者)は、こうした情勢下において、日本の自動車業界はトランプリスクを回避する手段として、
「巨額投資の前倒し」
を行うべきであると考える。具体的には、トヨタやホンダといった自動車メーカーが、北米での電池工場建設やガス発電設備への追加投資を行うこともあり得よう。赤澤経産相の訪米を通じて、自動車輸出の継続という実利を確保する代わりに、数兆円規模の対米手土産を差し出すことは、現在の国際秩序のなかで生きる日本にとって極めて現実的かつ戦略的な政策といえる。
また、高市政権の対米接近を逆手に取り、経済安保を大義名分とした次世代規格の独占を急ぐべきだ。ソフトウェア定義型車両(SDV)や車載半導体の規格において、日産や三菱自を含む日米連合の標準を作ることは、技術覇権を狙う中国メーカーを市場から効果的に排除し、日本企業の優位性を作り直す絶好の機会となる。
南鳥島のレアアース開発に米国の資本と技術を呼び込み、供給網を要塞化することも欠かせない。政府が拡充する経済安保予算を、EVのみならずハイブリッドや水素エンジン用の鉱物確保に振り向けさせ、技術的中立性を守った日本独自の防衛線を築くことこそが、産業の背骨を守る道である。